文科省の、いわゆる「文系廃止通知」が波紋を呼んでいます。
通知文が「舌足らず」だったため誤解を生んだと、文科省は弁解していますが、たぶん本音だったのでしょう。
その本音とは、理系は社会や生活に役に立つが、文系は(あまり)役に立たない、という暴論です。
笑ってしまいます。何をもって、役に立つというのでしょう。
生活を便利にするのは理系だとしても、その生活を豊かにしているのは、文学や芸術などの文系です。
だいいち、いま日本の社会を牛耳っているのは、文系(官僚)じゃないですか。
理系の人間など、文系にうまく使われているにすぎません。
たとえば過去30年間の、18人の歴代総理大臣の出身大学・学部を調べてみたら、理系はわずかに2人。
東大工学部出身の鳩山氏と、東工大理学部出身の菅氏だけ。他は全員、文系学部出身。
文系の首相がみな素晴らしいとは言いませんが、少なくとも理系出身者は、総理大臣には向かないようです。
その文系の安倍首相が、OECDの基調演説でこう語りました。
「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う」と。
100年先を見なければならない国家の指導者が、つい目の前のニーズを見据えるとは、考えが浅いものです。
そう言えば医学部の定員にしても、増やして、減らして、また増やしたと思ったら、今度は減らそうという話。
安倍首相は、いったい何を焦っているのでしょう。もっとどっしりと構えてほしい。