ヒゲをこっそり伸ばす

無精ひげは誰からも好かれませんが、きちんと手入れされたひげでも、誰からも嫌われないとは限りません。

なので一般の社会人がひげを伸ばすことは、ある意味チャレンジです。

勤務医時代、私は<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-428.html" target="_blank" title="顔中にひげ">顔中にひげ</a>を生やしていました。顔中とは「くちひげ」「ほおひげ」「あごひげ」全部です。

3カ所すべて「ひげ」ですが、漢字で書くとみな違います。面白いことに、英語でも別の単語を使います。

(1)くちひげ:髭(し)、moustache

(2)ほおひげ:髯(ぜん)、whiskers

(3)あごひげ:鬚(しゅ)、beard

中国最古の漢字字書(ということは、世界最古の漢字字書)である『説文解字』によれば、

(1)髭:口上の須(ひげ)なり

(2)髯:頬の須(ひげ)なり

(3)鬚=須:面の毛なり

どうやら、ひげを全部ひっくるめて「須」のようです。さらに言うなら、「彡」がひげを表すようです。

よく見ると「鬚」の字は、「彡」を2つ含んでいるじゃないですか。

日本では、いつ頃から使われている漢字だろうと調べたら、日本書紀に記載があるそうです。

素戔嗚尊(スサノオノミコト)が、『乃拔鬚髯散之 即成杉』(ひげを抜き散らしたら杉になった)と。

ちなみにその後、胸毛や眉毛や尻毛も抜いて、それぞれ樹木を生み出しているようです。

スサノオの絵(想像図)を見ると、顔中ひげだらけですが、くちひげ(髭)は使わなかったのでしょうか。

考えてみると、古代の歴史上の人物(男性)はみな、顔中にひげをたくわえています。大国主命も神武天皇も。

ならば日本人においては、髭・髯・鬚すべてを生やすことこそ、正装ではなかろうかと、考えたりもします。

しかし、ダンディーでありながら不潔感のないひげ面というのは、なかなか難しいものです。

現在私は髭(くちひげ)を生やしていますが、他の部位のひげも伸ばそうかどうしようかと、思案中なのです。

とりあえず、日頃マスクに隠れる範囲だけ、髭のほかに鬚をこっそりと、伸ばしつつあるところです。