同時に処方してはならない薬があります。
(1)相互作用によって、薬の効果が極端に減弱したり強まったり、あるいは副作用が出やすくなるもの
(2)似たような作用の薬のため、両方を同時に内服すると、過剰な用量になってしまうもの
このうち(1)は医学的な問題ですが、(2)は医学上のみならず、保険診療上の問題もあります。
診療報酬を審査する機関や、支払い機関(保険者)が、それをチェックして、クレームをつけてきます。
もちろん、診療報酬は査定され、医療機関は返金を要求されます。厳しいペナルティーです。
先日、ある患者さんに、糖尿病の薬Aを処方し、その4週間後に薬Bに切り替えたところ、査定されました。
薬Aと薬Bは、同時に処方することができない薬ですが、私はもちろん、同時処方したわけではありません。
問題は、処方日が、同じ月の月初めと月末だったことです。
支払い機関は、1カ月単位で審査するので、同じ月に処方した薬を、同時処方したものと勘違いしたのです。
なんとも理不尽な話です。気付かなければ、泣き寝入りです。
勘違い査定に対して、その間違いにちゃんと気付いて異議を申し立てる責任は、医療機関側にあります。
公的機関は一般に、医療機関に対して「性悪説」的態度で臨んでいるので、一事が万事、こうなるのです