梅雨明けしたとたんに、熱中症が増えています。毎日のように、点滴が必要な患者さんが来院します。
昔は「日射病」と言っていましたが、やがて「熱射病」を経て、いまは「熱中症」が一般的な呼び方です。
日本救急医学会による熱中症の定義は、「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」です。
従来はその症状から、「熱けいれん」「熱失神」「熱疲労」「熱射病」の4つに分類されていました。
どれが重症なのか、わかりにくいですね(熱射病が最重症)。そこで新たな分類が提唱されました。
【 I 度】 現場にて対処可能
【 II 度】 速やかに医療機関への受診が必要
【 III 度】 採血、医療者による判断により入院(場合により集中治療)が必要
え〜っと、なんていいますか、あらゆる病気で使えそうな、ありきたりの分類になってしまいました。
このうち【 III 度】が「熱射病」に相当します。中枢神経症状や、肝・腎・血液凝固障害等を呈するものです。
そうなると、わざわざ「熱中症」という言葉を使わなくても、いいような気がしてきます。
【 III 度】が熱射病なら、【 II 度】は軽度の熱射病、【 I 度】はごく軽度の熱射病、ではだめですか。
もともと「熱中症」の「中」は、「暑気中(あた)り」の「中」です。
「毒」に「中(あた)る」から「中毒」です。「熱」に「中(あた)る」なら「中熱」じゃないのでしょうか。
それをどうして「熱中」症にしたのか。そこのところから、間違っていたような気がします。