医療関係で、最近2つの新聞記事がありましたが、それらが一見、矛盾しているようなので笑えました。
(1)日本では今後、高齢者が増えるので、入院ベッドが不足するため、訪問診療を広げる必要がある。
(2)日本のベッド数は先進国の中でも突出して多く、高齢化が進むなか、医療費の抑制が急務である。
つまり、高齢者は増えるけど、できるだけ入院はやめて、医療費をもっと抑制しよう、ということです。
そこには、ベッド数が多いから余計な入院をさせてしまうのだという理屈が、根底にあります。
「高齢者が増えるので病人は増えるが、病人が増えても医療費は減らす」
このような目標をたてたら、どこかに歪みができることは明白です。患者と医者が、負担を強いられます。
国が行う手っ取り早い方法は、医療行為に対する報酬の単価を安くすることでしょう。
公定価格で仕事をしているわれわれ医者は、つねに国に首根っこを押さえられているのです。
さて、高齢者人口は2042年頃から減少に転じるものの、高齢者の割合はまだ増え続けると推測されています。
死亡数も増えます。終末期医療をどのように抑制していくか、という難しい問題も出てきます。
一方で現状のままでは出生数は減り続け、40年後には出生数が死亡数の3分の1を下回ると考えられています。
つい10年ぐらい前までは、死亡数よりも出生数の方が多かったことが、ウソのようです。
高齢者医療費を心配する前に、高齢者を支える若者(生産年齢人口)を増やす手立てを、講じるべきでしょう。
もう何度も言ってますけど、いますぐにでも、少子化対策を強力に進めるべきです。安保よりも優先です。