高齢化社会の進展をにらみ、厚労省は「かかりつけ医」と「在宅医療」を推進しようとしています。
在宅医療にも、さまざまな問題(ドタバタ)があるのですが、今日は「かかりつけ医」のドタバタ話です。
昨年導入された「地域包括診療料」は、まさにその「かかりつけ医」を作るためのインセンティブでした。
医者が「かかりつけ医」になると、通常の診療報酬に、地域包括診療料を上乗せすることができます。
患者1人あたり、毎月1,503点、つまり15,030円という、大盤振る舞いです。
もちろん、地域包括診療料を算定する医療機関には、24時間の患者対応などが求められます。
対象疾患も限られ、常勤医師3人以上の在籍が必要など、厳しい条件があります。
一方で患者が「かかりつけ医」にかかると、3割負担でも毎月4,500円ほど、出費が増えることになります。
制度導入の3カ月後(昨年7月)、地域包括診療料を届け出た医療機関は、全国でわずかに122施設でした。
全国に何万とある医療機関のなかで、この数字です。熊本県内だと2施設しかありません。
それから約1年たち、届け出ている医療機関は、121施設。昨年より1施設減りました。熊本は3施設。
たとえ届け出ても、実際には地域包括診療料を算定していない施設も目立つようです。
つまりこの「かかりつけ医」制度は、実質的に稼働していないのです。原因はわかりきっています。
医療機関にとって、算定要件が厳しいだけでなく、報酬の金額が大きすぎて患者に請求しにくいのです。
「かかりつけ医」を作ろうとしたものの、その過大なインセンティブが、逆効果になったというわけです。
厚労省の方、こういうのを何て言うかご存じですか。「絵に描いた餅」って言うんですよ。