たとえ話の詭弁

屁理屈を言わせせたら、官僚の右に出る者はいませんが、その頂点ともいえるのが内閣法制局長官でしょう。

昨日の衆院平和安全法制特別委員会は、意味不明な「たとえ話」の応酬が、なかなか面白かったですね。

集団的自衛権は、全体としては違憲だが、一部を切り出したものは合憲だという理由は何か、という議論。

民主党議員がこれを、たとえ話にして質問しました。

(1)「もう腐っちゃった味噌汁の中から一杯限定して取っても、腐っているものは腐っている」

これに対して、横畠裕介・内閣法制局長官は次のように、二段階で答弁しました。

(2)「仮に毒キノコだとすれば、煮ても焼いても食えないし、その一部分をかじってもあたります」

(3)「フグだと、それは毒があるから、全部食べたらそれはあたりますけれども、肝を外せば食べられる」

横畠氏はまず、民主党の「腐った味噌汁」を無視して、誰も言ってない初耳の「毒キノコ」を登場させます。

野党が動揺したところでしかも、集団的自衛権は「毒キノコ」ではなく「フグ」なのだと、たたみかけます。

「フグ」のたとえ話が、なんとなく辻褄が合うものだから、なぜ「フグ」なのかという説明はナシです。

そのうち、集団的自衛権は全面的に合憲になるかもしれません。その時のたとえ話はおそらく、

(4)「きちんと工夫して養殖すれば、毒の無いフグもできます。丸ごと食べられます」