青森や秋田や山形で、今年初の「ツツガムシ病」の患者報告が出始めました。これからが流行期のようです。
なかなか遭遇することがない病気のようですが、全国で、毎年数百人が罹患しているそうです。
「ツツガムシ」というダニが媒介して、「Orientia tsutsugamushi」という細菌の一種が感染する病気です。
主要3徴候は「刺し口、発熱、発疹」。刺し口は特徴的なので、見逃さないようにしなければなりません。
唱歌「故郷(ふるさと)」の二番は、「如何にいます父母 恙(つつが)なしや友がき」と始まります。
歌詞の「恙なし」というのは「ツツガムシ病」から来ている、という俗説があります。もちろんガセです。
私も学生時代まで、その説を信じていました。しかし真実は正反対。
「ツツガムシ病」が「恙ない」の語源ではなく、「恙ない」が「ツツガムシ病」の語源のようです。
遣隋使の国書の「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙無しや、云々」という記載は有名。
もっと古い紀元前の文献にも「恙無きや」という表現が出てきます。
いずれも「恙(つつが)」=「病気・災難」であり、「恙無し」=「健やかである」という意味です。
東北地方で、ある風土病をもたらす虫が、「病を起こす虫」という意味で「恙虫」と名づけられました。
そしてその病気が「恙虫病(ツツガムシ病)」となりました。
つまり「ツツガムシ病」とは、「病をもたらす虫がもたらした病」という、おかしな名前なんですね。