負けず嫌い

生来の負けず嫌い。争わなければ負けずに済むので、私はなるべく争わない方針で生きてきました。

しかし世の中、競走だらけ。負けず嫌いの人間が負けたとき、口から出るのは負け惜しみです。

長い目で見れば、目先の勝敗などとるに足りない。「負けるが勝ち」なのだと、自分にそう言い聞かせます。

さて、最初の勝負でAが勝者、Bが敗者とすると、負けるが勝ちの理屈ではAが敗者、Bが勝者と逆転します。

ところがもう一度、負けるが勝ちの理論を適用すると、こんどはAが勝者、Bが敗者となります。

これを繰り返せば、AとBの勝敗は、たびたび逆転することになります。

奇数回だけ繰り返せば、勝敗は逆転し、偶数回繰り返せば、勝敗は元通りです。いったいどっちなのか。

結局「負けるが勝ち」は、勝敗をはっきりさせないための、知恵なのかもしれません。

日本人の基本的性質「和を以て貴しと為す」を示したものだと思います。

できるだけ争わない態度こそ、日本人の美徳であり、私にもその血が流れているというわけです。

負けず嫌いの人間って、けっして圧勝もしたくはない、なんとなく引き分けに持ち込みたい人間なのです。