デッドセクション

本日開業した北陸新幹線は、東京、中部、東北、北陸の、4つの電力会社の電力供給地域にまたがっています。

そのために走行途中で、架線の交流電流の周波数が3回変わる、などというトリビアが新聞に出ていました。

もちろん周波数切替地点では、特別な工夫がなされているので、電気が途切れることはありません。

しかし電気の電圧が変わるとか、交流と直流が切り替わるような場合には、給電が途切れる区間ができます。

これをデッドセクション(無電区間)と呼びます。電車はその区間を、惰性で走ることになります。

全国の鉄道の、どこにどのようなデッドセクションがあるかは、鉄道ファンの方ならよくご存じでしょう。

残念ながら、私が知っているのは、常磐線の取手ー藤代間の1カ所のみですが、そこはよく知っています。

高1のとき、夏期講習を受けるため、茨城県の藤代にある親戚宅から都内まで、2週間ほど通ったからです。

古い記憶なのでやや不正確ですが、そのときの様子や心境を、思い出してみます。

デッドセクションに来ると、車内照明が切れ、空調が止まり、モーター音も消え、妙な静寂に包まれます。

惰性だけで進んでいる電車が、線路の摩擦で徐々に減速していくのがわかります。皆が息をのむ瞬間です。

なんとかこのまま、デッドセクションを抜けきって欲しい。乗客の願いはひとつ。思わず力が入ります。

と、パッと照明が点灯、モーターが音を立て、加速力が回復。みんなが安堵の表情で、肩をたたき合います。

ま、こんな感じ。

もしも、何かのトラブルで電車が急ブレーキをかけ、ちょうどデッドセクションで停車したらどうなるのか。

私は常磐線に乗るといつもそのことが心配で、デッドセクションに近づくたびに、ドキドキしていました。