善玉と悪玉の中身は同じ

コレステロールには善玉と悪玉がある、ということになっていますが、誤解を招きやすい表現です。

善玉も悪玉もありません。コレステロールという物質は、ただの1種類しかありません。

コレステロールは脂質の一種で、細胞機能や細胞膜の維持には必須の、たいへん重要な分子です。

脂質は水(血液)に溶けません。なので血中を運搬するときには、水に溶けやすい専用ケースに収納します。

全身に送り届けるときのケースがLDL、余分なコレステロールを回収するときのケースがHDLです。

ご存じのように、過剰なコレステロールは血管の動脈硬化を引き起こし、生活習慣病の原因となります。

そのコレステロールを運んで来るのはLDL。なのでLDLに収納されたコレステロールを、悪玉呼ばわりです。

その反対に、余剰コレステロールを回収するHDLに収納されたコレステロールは、善玉と称してあがめます。

医学用語では、たとえば良性腫瘍とか悪性腫瘍というとき、そこには明確な、医学的定義があります。

ところがコレステロールの場合は決して「良性」「悪性」とは言いません。あくまで「善玉」「悪玉」です。

同じコレステロールを、善悪2つの側面から見た呼び方、というニュアンスで考えればよいのでしょう。

大事なのはバランスです。LDLが多くてHDLが少ないのはいけません。一般的にはその考え方です。

しかし面白いことに、コレステロールは、高くても良い、とか、高い方が良い、などの意見もあります。

さまざまな<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-943.html" target="_blank" title="学説">学説</a>や俗説に加え、メディアの取り上げ方にも偏りがあるので、臨床現場は混乱気味です。