「音読しながら書いて覚える」 そんな勉強法が効果的だと、つい最近もテレビ番組で紹介していました。
多くの感覚器を刺激しつつ覚えると、単に黙読したよりも記憶に残りやすいという、昔からある定説です。
ところが最近、書いて覚えるよりも書かずに覚えた方が記憶に残りやすいという、逆説的な話が出ています。
カナダの大学で行われた、トランプの「神経衰弱」ゲームを用いた実験の内容はこうです。
カードの絵柄と位置について、半数の学生にはメモを取らせ、残りの学生はには取らせなかった。
最終的に、メモを没収したところ、絵柄の位置をよく覚えていたのは、メモを取らなかった学生の方だった。
つまり、メモという外部記憶への記録に頼ったために、自分の脳への記憶が定着しなかったというわけです。
なるほど。それで合点がいきました。学生時代、書いても書いても覚えられなかった訳がわかりました。
覚えたい事柄を書き写すという、その行為自体に満足して、脳の記憶回路が働いていなかったわけです。
学会や講演会の聴衆には、こまかくメモをとる人と、じっと聞いているだけの人がいます。
演題の全体像を把握し、重要ポイントを的確に記憶することができるのは、後者の人だけかもしれません。
たしかに、何かを真剣に覚えるときには、手を動かすと、かえって集中できないような気がします。