薄氷を踏む思い

電子カルテの話ばかり続きますが、無事(おそらく)復旧できたので、ご報告します。

とは言え今日は、いつフリーズするかと、薄氷を踏む思いで診療に臨んでいました。

障害となっていた可能性があると考えて、除去または更新・交換したのは、次のものです。

(1)電子カルテソフト(新規インストール)

(2)サーバー本体(交換:Mac mini→MacPro→iMac)

(3)OS(サーバー交換に伴い、OS X 10.7→10.9→10.8)

(4)スイッチングハブ(交換:エディオンで急遽購入)

(5)LANケーブル(交換:エディオンで急遽購入)

(6)ウイルスチェックソフト(除去)

(7)無線LAN(使用中止:すべて有線化)

(8)インターネット(電子カルテ端末での接続中止)

おそらく、ネットワーク上に問題があったと、私は睨んでいます。ということは、(7)か(4)かな。

電子カルテは、他のシステムとは独立させ、極力シンプルに。これが基本。初心忘るべからず。なので、

(9)油断・惰性・慢心

これが主犯ですかね。

サーバーダウンした一昨日から昨夜の復旧作業後まで、2日間で体重が1キロ減りました。

昨年8月から始めている私のダイエットにとっては、思いがけない追い風となりました。

電子カルテ復旧への道

電子カルテのサーバーダウン(またはクラッシュ)からの復旧作業は、微妙な小康状態に留まっています。

休診日の今日、朝の8時台から夜の10時前まで、ずっとかかりっきりでした。

その詳細を時系列で記載するのもアレなので、ここは一般論として、今日感じたことを書いてみます。

(1)予備機にも不具合が起きたとき、その次をどうするか、予備の予備まで考えておくこと

復旧作業の途中で判明したのは、予備機もまた不調であったということです。こんなことが、あるんですね。

(2)何時間かかるかわからない作業は、可能な限り、朝早くから始めること

長引いて夕方になると、焦ってきます。サポートセンターなど外部の協力者にも、頼れなくなります。

(3)休日であっても、何があるかわからないので、予定を詰め込まないこと

こんな日に限って、水道蛇口の修理と、空気清浄機の交換と、防災設備の点検の予定を入れていました。

(4)毎日のデータバックアップは重要だけど、本当に必要なときには、1日1回ではまったく不十分

1時間ごとの自動バックアップという設定にもできたのに、それをしなかった。危機意識の欠除ですね。

サーバーがダウン

Facebookが一昨日の15時過ぎ、世界中で接続できなくなりました。サーバーがダウンしたらしいですね。

1時間弱で復旧しましたが、今回のことで、Facebookの危うさを感じました。

いやいや、そんなことよりも、今日クリニックで起きた、サーバーダウンの話ですよ、いま書きたいのは。

夕方頃から、電子カルテの挙動がおかしいと思ったら、突然すべての端末(クライアント)が止まりました。

こうなると原因はサーバーに違いない。診療を中断して確認すると、サーバーがフリーズしています。

フリーズしたら再起動するしかありませんが、その結果、ついにサーバー機が立ち上がらなくなりました。

再起動しても、PRAMクリアしても、SMCリセットしても、セーフブートしても、まったく回復しません。

大丈夫。こういうときのために、予備サーバーがあるじゃないですか。助かった。さっそく立ち上げました。

ところが考えてみると、予備サーバーの電子カルテのデータが古いのです。年末に更新したままでした。

電子カルテのデータは、毎朝、サーバーの外付けハードディスク(HDD)に、バックアップをとっています。

しかしまさか、予備サーバーのデータまで、毎日更新してはいませんでした。

なのでサーバーの外付けHDDのデータを、予備サーバーで読み込めるかどうか、それが頼みの綱です。

さいわい、明日は休診日なので、電子カルテメーカーと相談しながら、朝から復旧作業を行う予定です。

それにしても、電子カルテのデータのような最重要データは、とにかくバックアップが命。今回の反省点は、

(1)毎日2回以上、こまめにバックアップすること。頻度が多いほど、失われるデータが少なくなる。

(2)予備サーバーはつねに、いつ何時でも出動できるように、データを更新して予行演習しておくこと。

さて、明日はどうなることやら。

書いて覚えた方がいいのか

「音読しながら書いて覚える」 そんな勉強法が効果的だと、つい最近もテレビ番組で紹介していました。

多くの感覚器を刺激しつつ覚えると、単に黙読したよりも記憶に残りやすいという、昔からある定説です。

ところが最近、書いて覚えるよりも書かずに覚えた方が記憶に残りやすいという、逆説的な話が出ています。

カナダの大学で行われた、トランプの「神経衰弱」ゲームを用いた実験の内容はこうです。

カードの絵柄と位置について、半数の学生にはメモを取らせ、残りの学生はには取らせなかった。

最終的に、メモを没収したところ、絵柄の位置をよく覚えていたのは、メモを取らなかった学生の方だった。

つまり、メモという外部記憶への記録に頼ったために、自分の脳への記憶が定着しなかったというわけです。

なるほど。それで合点がいきました。学生時代、書いても書いても覚えられなかった訳がわかりました。

覚えたい事柄を書き写すという、その行為自体に満足して、脳の記憶回路が働いていなかったわけです。

学会や講演会の聴衆には、こまかくメモをとる人と、じっと聞いているだけの人がいます。

演題の全体像を把握し、重要ポイントを的確に記憶することができるのは、後者の人だけかもしれません。

たしかに、何かを真剣に覚えるときには、手を動かすと、かえって集中できないような気がします。

ワイヤレス充電の時代

「コンセント不要」の時代が来るのか。電波で電気を送る技術が、実用化に向かっています。

その技術開発を行っている米国のベンチャー企業に対し、KDDIが出資するというのが、昨日のニュース。

つい先日は、別のベンチャー企業が開発しているワイヤレス充電システムが、話題になったばかり。

どうやらこの分野は、あちこちで開発が進んでいるようです。規格の主導権争いも、熾烈になるでしょう。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-459.html" target="_blank" title="乗せるだけでスマホを充電">乗せるだけでスマホを充電</a>する装置はすでに、市販されていますが、これはきわめて近接した状態での話。

何メートルも離れた端末にワイヤレスで給電できてこそ、応用範囲が格段に広がります。

前述した企業のシステムは、10メートル離れた複数の機器に、同時に給電できるといいます。

いま、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1015.html" target="_blank" title="スマホの充電">スマホの充電</a>は、ケーブルに接続するのは手間ですが、まあ1日1回程度なら許容範囲です。

これがスマートウォッチとなると、サイズが小さいのでバッテリー容量が少なく、その持ちが問題です。

しかも体に装着するものなので、充電のために何度も取りはずすことは避けたい。

近々発売されるであろう<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1072.html" target="_blank" title="Apple Watch">Apple Watch</a>は、ケーブルでの接続が不要な、電磁誘導充電方式を採用しています。

磁石でくっつくだけの簡単な仕組みですが、それでも残念なことに、手首からはずさなければなりません。

Appleは考え尽くしてこの仕組みにしたようですが、まだまだ技術的には過渡期という印象がぬぐえません。

ウエラブルデバイスが広く普及するのは、この充電問題が解決してからになりそうな気がします。

ちょうど<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-503.html" target="_blank" title="Wi-Fi">Wi-Fi</a>が当たり前になったように、やがてワイヤレス充電が普及する時代が来るかもしれません。

自宅や職場や、公共の施設や街角には、Wi-Fiや<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-853.html" target="_blank" title="Bluetooth">Bluetooth</a>や充電用の電波が飛び交うわけです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-609.html" target="_blank" title="ウエラブルデバイス">ウエラブルデバイス</a>と<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-827.html" target="_blank" title="モノのインターネット">モノのインターネット</a>の時代、屋内外は電波だらけになりそうです。

予防医療の拡充が本筋

本日、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-481.html" target="_blank" title="通常国会">通常国会</a>が召集されました。長い冬休みでしたね、議員さんたちは。

安倍首相は今国会を「改革断行国会」と位置づけて、医療や農業の改革を断行する考えとのこと。

「断行」という言葉の響きは勇ましいですが、本気で断行されたら、たぶん医療機関には打撃です。

小泉内閣時代からそうですが、国民あるいは国の財政を立て直すとき、医療費はいつも削る方向なのです。

高齢化が進んでいるのに、国民1人当たりの医療費は抑えようという、困難な改革が断行されるのでしょうか。

医療費削減をめざすなら、予防医療の充実を図るのが本筋というもの。ぜひその方向で断行してほしいです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-477.html" target="_blank" title="特定健診">特定健診</a>(いわゆるメタボ検診)は、効果ナシとは言いませんが、有料なので受診率は低迷しています。

受診者の多くが、日ごろ通院治療している生活習慣病の経過観察用に、特定健診を流用しているのが実態。

本来の、メタボを発見するという目的で受診する方は、残念ながらごく少数です。

人間ドック学会は昨年、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-943.html" target="_blank" title="健診の基準値">健診の基準値</a>を大幅に甘くしましたが、いったい何考えてるんですかね。

厳し目の基準を設定して、生活習慣病の予備軍を早期発見することにこそ、健診の意義があるというのに。

予防接種はどうでしょう。<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1186.html" target="_blank" title="子宮頸がん予防(HPV)ワクチン">子宮頸がん予防(HPV)ワクチン</a>は、ご存じの通り、事実上の中断中です。

ワクチン反対派は、定期的に子宮がん検診を受ければ、がんを早期発見・早期治療できる、と言います。

でも、発がんするまで待って早期発見して手術するよりも、発がんを予防した方がいいに決まっています。

どうしてその理屈が多数意見にならないのか、不思議でなりません。

得点調整は公平か

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1206.html" target="_blank" title="センター試験">センター試験</a>の採点の結果、理科の選択科目間で平均点に大きな差が出たため、得点調整をするとのこと。

旧過程の「物理1」の平均点69.93点に対し、新課程「生物」は48.39点。その差が20点を超えたためです。

試験科目によって、平均点に大きな差ができる原因は、一般的に次の2つでしょう。

(1)問題の難易度の違い

(2)受験生の学力の違い

まず、学習範囲の広い新課程と、ゆとり教育の旧課程の科目が混在し、ずいぶん難易度が異なったようです。

同じ科目どうしで比べると、旧課程の方が平均点が6点以上高く、地学に至っては18点の差がありました。

この点に関して言えば、得点調整を行うことは理にかなっているかもしれません。

しかしそれ以前に、浪人生だけが、学習範囲の狭い旧過程で受験できる規定だったことは、やはり問題です。

では、教科間の違いはどうでしょう。物理と生物とで、難易度に明らかな差があったのでしょうか。

たしかに平均点は、旧過程では物理>化学>地学>生物、新課程では物理>化学>生物>地学の順でした。

しかしこの順序は、難易度の差というよりも、その科目を選択した受験生の理系能力の違いかもしれません。

高校理科の中で、物理・化学は「理系」的、生物・地学は「文系」的な側面があります。

物理は、その原理・法則等をきちんとマスターしていれば、必ず高得点が取れる科目です。

化学は、知識を問われる部分もあるので、万一不得意な分野から出題されると、失点しかねません。

地学や生物は、さらに暗記項目が多くてリスキーなので、根っからの理系人間は選択しない科目です。

理系学力を問うのが理科の試験なら、物理を選択して高得点をとる受験生を、正当に評価すべきです。

物理と生物の間で得点差が出たから調整するなど、まったく不公平な措置だと思います。

電池の劣化に注意

Macと周辺機器のホットなトラブル話を2つ。

MacProの内臓メモリのうち1つが、認識できていないことが発覚。昨日の話です。考えられる原因は2つ。

(1)メモリの不具合

(2)Macのトラブル

メモリを配置換えしても、認識できないのは同じスロット。となると原因はMac側ですな。要修理です。

でも<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-561.html" target="_blank" title="修理に出す">修理に出す</a>前に、セキュリティー上、内部ストレージ(SSD)の初期化を行わなければなりません。

なにしろ、電子カルテのデータやら私自身の個人情報やら何やらが、ギッシリ詰まってますから。

初期化って、ひどく面倒な作業ですが、嫌いじゃない。ていうか好き。私は「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-158.html" target="_blank" title="初期化マニア">初期化マニア</a>」なのです。

さて今日は、診察室のMac miniのトラックパッドの不調です。突然、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-853.html" target="_blank" title="ペアリング">ペアリング</a>ができなくなりました。

以前も書いたように、Bluetooth機器のトラブルでは、次のような原因が考えられます。

(1)設定ミス

(2)電池切れ

(3)電波干渉

(4)ペアリングの重複(前回はコレでした)

ずっと使っていたトラックパッドなので、どれも考えにくい。それに電池は今朝交換したばかりだし・・・

いや待てよ、と交換したばかりのエネループをはずし、普通のアルカリ乾電池を入れてみると、見事に復活。

充電したばかりのエネループでしたが、7年も使っていたので、劣化していたのです。すぐ捨てましょう。

電気製品のトラブルは、まず、電源を疑え。<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1199.html" target="_blank" title="これ基本でした">これ基本でした</a>ね。うっかりしてました。

出席停止期間が長い

インフルエンザの患者報告数は、宮崎、沖縄、熊本が、現在の全国ワースト3。九州で大流行のようです。

熊本市では先々週から警報レベルとなり、近隣の小中学校では、学級閉鎖や学年閉鎖が相次いでいます。

学級閉鎖は、流行の拡大をくい止めるために有効な措置ですが、さまざまな問題もあります。

不足する授業時間をいつか埋め合わせしなければならないし、子どもが休めば家庭への影響もあるでしょう。

最悪なのは、学級閉鎖が終わった頃になって、インフルエンザに罹ってしまう場合です。

児童がインフルエンザに罹ると、「解熱の2日後」かつ「発症の5日後」までは<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-571.html" target="_blank" title="出席停止">出席停止</a>というキマリです。

下熱しても体内にウイルスが残っているため、ある程度の期間は、他人への感染力があるからです。

しかし、早々と元気になった子どもは、学校にも行けず、何日も自宅で暇をもてあますことになります。

そこで考えたんですが、元気なら登校させたらどうでしょう。ただし、元のクラスに戻るのではありません。

インフルエンザ児童専用のクラスをつくって、そのようなお子さんを集めて、授業をするのです。

さいわい今流行しているインフルエンザは、ほとんどがA香港型。みんなを一緒にしても問題ないでしょう。

学級閉鎖中のクラスが空室なので、その部屋を利用しましょう。

というわけにも、いかないでしょうね。失礼しました。

しかし、登校停止期間を杓子定規に日数で決めるのには、疑問を感じます。やはり病状を考慮すべきです。

高熱が続いたのか、すぐに下熱したのか、あるいは最初から微熱だったのか、経過には個人差があります。

ワクチン接種歴や、インフルエンザ治療薬開始のタイミングによっても、ウイルス排出期間は異なるはず。

そういった事情を考慮して、医師の総合的判断で、出席停止期間を決めても良いのではないでしょうか。

文章問題のインチキ

先日の出題ミス事件をきっかけに、センター試験の「世界史B」の問題を眺めてみたんですが、悪問ですね。

設問はすべて、まず歴史に関する7,8行の文章を読ませ、その下にいくつかの問いが並ぶという形式です。

ところが、その問いの内容が、冒頭の文章とは実質無関係。ひどいこじつけばかりじゃないですか。

例えば、問4のBの設問は、「じゃんけん」の歴史についての、ちょっと興味をそそる文章で始まります。

「古代の中国に起源を持つとされるじゃんけんは、現在、世界大会が開かれる競技であり、・・・(後略)」

この文の「中国」という文字の下に「4」と表示された下線が引いてあり、以下のような問いが続きます。

「下線部4の国(=中国)から伝わった制度や文物について述べた文として、誤っているものを選べ」

選択肢は4つ。それぞれ、羅針盤、製紙法、養蚕、科挙に関する文です。全部「じゃんけん」とは無関係。

じゃあ「じゃんけん」どこ行ったの?って話です。結局、冒頭の文章は、設問の内容には関係無いのです。

ただ単に「中国」という言葉を、登場させるためだけの役割しかないのです。

総じてみると、世界史Bというのは結局、短い文の正誤を問う問題の羅列にすぎません。

それなのに、あたかも文章問題のような体裁をとって、設問に深みを出そうという魂胆が見え見えです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1202.html" target="_blank" title="前にも書きました">前にも書きました</a>が、よっぽど知識偏重の問題だとは言われたくないのでしょうね。