診療明細書は無意味

「診療明細書」を受け取られているでしょうか。医療機関を受診すると、領収書とともに渡される書類です。

明細書に記載されているのは、あくまで医療費の内訳であって、診療内容の詳細ではありません。

検査の目的、診断した病名、その根拠、今後の見通しなど、疾患や病状に関する記載は、一切ありません。

そこにあるのは、初診料や管理料、処方せん料や検査料などの、「○○料」という項目名と料金のみです。

こんな明細をもらっても、健康管理には何の役にも立ちません。なので不要な方は、受け取らなくても結構。

しかし医療機関は、不必要と意思表示した方以外全員に、診療明細書を渡さなければならないキマリです。

そのかわり医療機関は、そのような明細書を発行することでも、わずかながら報酬が得られます。

「明細書発行体制等加算」がそれで、1人1回につき「1点」つまり「10円」です。3割負担だと3円。

「私は明細書は必要ないので、加算は付けないでほしい」ということはできません。

不要な方には明細書は発行しませんが、それでも加算は取られてしまいます。

この加算は明細書代ではなく、明細書を発行できるような体制をとっていることに対する報酬だからです。

まあ変なシステムです。役にも立たない書類を発行して、それが不必要な患者からも料金を取るのですから。

本来、患者に渡すべき書類は、検査結果・診断内容・治療方針などの「明細」であるべきです。

手前味噌ですが、当院のミニカルテは、そのような趣旨で作っているものです。

診療の形だけを評価して、その中身に踏み込めないのが、今の診療報酬システムの最大の問題だと思います。