エボラより怖い病気

インフルエンザはエボラよりも怖いと、昨日あるテレビ番組が、取り上げていました。

国内死亡者数が毎年1万人という、驚くような数字も示していましたが、たしかにこれは誇張ではありません。

厚労省の統計では、インフルエンザによる死亡者数は、年間数百人程度ということになっています。

しかしこれには、インフルエンザが原因で細菌性肺炎に罹って死亡した人の数などが、含まれていません。

インフルエンザにさえ罹らなければ、死亡することもなかった、という人の全体数を知る必要があります。

人口動態の統計処理によってその全体数を算出したものが、「超過死亡」という、WHOが提唱した概念です。

超過死亡は、インフルエンザによる死亡者数の実態を表すものと考えられており、年間約1万人にのぼります。

興味深いのは、超過死亡とワクチン接種との関係です。予防接種行政との関係といってもよいでしょう。

日本では1963年から94年まで、学童へのインフルエンザワクチンの集団接種が行われました。

集団接種の導入によって超過死亡は激減したものの、94年に中止されると再び急増しました。

その後2001年から高齢者への定期接種が始まって、再び減っています。

いずれにしても明らかに、インフルエンザワクチンの接種が、死亡数を大きく減らしたことがわかります。

それなのに、学童への集団接種が94年に中止された理由は、

(1)インフルエンザは罹っても軽症なので、予防の必要性も低い(当時日本に超過死亡の概念がなかった)

(2)ワクチンの有効性が低く、むしろ副作用の方が心配(マスコミが大きく取り上げて問題視した)

いま考えると、集団接種の中止によって何万人もの方が、死なずに済んだのに死亡した計算になります。

これはいま勧奨接種が中止されている、子宮頸がん予防ワクチンにもそっくり当てはまるような気がします。

(1)子宮頸がんは検診で発見でき、手術も簡単なので、予防の必要性も低い

(2)ワクチンの有効性は疑問で、むしろ副作用の方が心配(マスコミが大きく取り上げて問題視した)