遮断鉗子の大「助手」論

「遮断鉗子の大『助手』論・前編」(佐多荘司郎著)という本を、先日Amazonで買いました。

ある心臓外科医が修行する中で見いだした、執刀医(術者)ではなく助手はどうあるべきかを論じた本です。

心臓外科医ならずとも、すべての外科医、いや医師でなくても共感が得られる内容です。しかも面白い。

外科医の修練を私なりにまとめるなら「徒弟制度+自己研鑽」とでも言えるでしょうか。

すべての外科医は、術者という高みを目指しますが、まずやることは雑用と勉強と、そして手術の助手です。

病棟診療に忙殺され(しかも薄給)、学会発表でドタバタし、手術では指導医に怒鳴られ続ける日々です。

そんなとき若い外科医は、いつかは一人前の術者になる、という思いで頑張るわけです。

ところが著者は、術者をうならせる完璧な助手になる、というひとつの高みを見出したようです。

著者の佐多先生は、医局の後輩であり、勤務医時代の同僚であり、タフな心臓外科医です。

一緒に働いていた頃の彼の発言で、いまもよく覚えているのは次の3つ。

「ベトナムの料理はとても旨いです」「カンボジアは蚊が多いです」「ブータンの料理はメッチャ辛いです」

まあ野性的な人間だとは思っていましたが、その後単身でドイツに乗り込んで武者修行したと聞きました。

次はアフリカのブルンジで、心臓センターの立ち上げに協力するそうです。

その行動力には驚くばかり。ブルンジでの大活躍を祈っています。あと「後編」もよろしく。