皆既月食と月の色

診療を終えて東の空を見ると、まさに皆既月食のさなかでした。

月は消え失せているわけではなく、妖怪の仕業かと思うような、妖しげな暗い光を放っていました。

もしも妖怪ウォッチを持っていたなら、そこにドンヨリーヌの姿を見出したかもしれません。

皆既月食のとき、屈折して地球を回り込んで届いた波長の長い太陽光に照らされて、月は赤っぽく見えます。

これを昔の人は「赤銅色(しゃくどういろ)」と表現したそうです。

赤銅鈴之助なら「あかどう」と読みますが、金属や色の呼び名としては「しゃくどう」らしいです。

色見本で赤銅色は「R:117 G:33 B:0」となっていますが、今日の月の色と比べると少し違う感じがします。

「赤」を「しゃく」と読む言葉は珍しいですが、よく見かけるのは「赤口(しゃっこう)」でしょうか。

大安とか仏滅とかの「六曜」のひとつですね。正午ごろのみが吉で、あとは全部凶という、難しい日です。

一説には、かの諸葛亮孔明が、この六曜を考案したとかしないとか。

6つの曜が順番に延々と繰り返されているかと思いきや、ときどき順番がとぶのが、昔からの疑問でした。

調べてみるとどうやら、旧暦の毎月1日に、一定の規則で順序がリセットされるシステムのようです。

こういうのって、学校では教えてくれませんね。

約1時間の皆既食が終わり、左側から徐々に、月がどんどん明るく、ついにはまぶしくなってきました。

その満月を愛でつつ、今日は頂き物の月餅を食べたのでした。