加圧トレーニング

テレビ番組で、郷ひろみの「加圧トレーニング」の風景が紹介されていました。

上腕や大腿をベルトで締めて血流を適度に減らし、負荷を強めるトレーニング法です。

筋肉の増強は、強い運動負荷(無酸素運動)における筋肉疲労からの、回復期に起きるとされています。

加圧トレーニングは、軽い筋肉運動でも無酸素運動に似た筋肉疲労を作ろうというものです。

理論的には面白いと思いますが、加圧コントロールが難しく、自己流で行うと血行障害等の危険もあります。

まあそれにしても、郷ひろみの、若さを保とうとする努力には驚くばかりです。

そういえば、これと少し似た原理のトレーニング法を思い出しました。「ハンドグリップ」です。

少し前に、NHKのためしてガッテンが取り上げていました。これは筋肉増強法ではなく、高血圧対策です。

ガッテン風に言えば、「タオルを2分握って1分休む」を左右2回ずつ行うだけで、血圧が下がるとのこと。

グリップ中に血流が減っていた筋肉に、力を緩めると一気に血液が流れ、血圧を下げる物質が分泌されます。

それが「一酸化窒素(nitric oxide;NO)」です。血管の内面を覆う「血管内皮細胞」から放出されます。

この物質はかつて「内皮由来弛緩因子(EDRF)」という、長ったらしい名前で呼ばれていました。

血管内皮から分泌されて、血管平滑筋を弛緩させる、正体不明の因子、というわけです。

ちょうど私が大学で研究している頃に、それがNOだと判明しました(私が発見したのではないですよ)。

見つかってみたら、ひどく単純な分子(だって、化学式もNOだし)だったので、とても驚いたものです。