新しい「配合剤」が、最近次々に発売されています。異なる成分の医薬品を、ひとつにまとめた薬です。
たとえば、よく組み合わせて使う2種類の血圧の薬(降圧剤)を、配合剤1錠で処方できるなら便利です。
患者さんは飲みやすいし、多くの場合、元の薬の合計よりも配合剤の方が安く設定されています。
じゃあ、いいことづくめじゃん、って思いますか? ところがデメリットもあります。
もしも副作用が出たとき、その原因となった成分がわかりにくい、というのがひとつ。
薬の作用を少しだけ強めたり弱めたりしたいとき、配合剤では微調整がしにくいのも欠点でしょう。
しかしそんなことよりも、もっと重大な問題は、ジェネリック医薬品が使いにくくなることです。
先発医薬品メーカーが開発した薬は、一定年数が経過すると特許期限が切れます。
すると後発メーカーが、先発品と同じ成分で値段の安い後発品(ジェネリック医薬品)を作り始めます。
当然、先発品の売上げが落ちます。先発メーカーには打撃です。
しかし配合剤を作れば、それは新たな特許と認められ、また一定期間、独占的に製造販売ができます。
つまり配合剤の発売には、ジェネリックへの移行を減らし、先発品を延命させようという狙いがあるのです。
そして先発品の特許切れ間近で配合剤を出すのが、「ジェネリック封じ」のための効果的なタイミングです。
まあ、そういう背景はあるにせよ、配合剤は価格が下がるので、処方医としても、そう悪い気はしません。