「救急車有料化」は、ときどき話題になるテーマです。
救急指定病院のうちの46.2%が有料化に肯定的で、否定的に考えているのは29.2%だったそうです。
また別の調査では、88%の医師が有料化が良いと答えています。
そもそも、救急車を利用することのメリットは何でしょう。
(1)病院到着までの所要時間が短いので、早期に治療が開始できる
(2)救急救命士による初期治療も期待できる
(3)治療が優先的に受けられる
(4)交通費が不要
本来の目的は(1)でしょうから、迅速な治療が必要な病状の場合、救急搬送は必須です。
迅速な治療が必要かどうか、その判断に迷うようなら、ためらわず救急車を呼ぶべきでしょう。
蘇生を要する状態の場合、救急救命士が駆けつけてくれることは大きなメリットです。救命率は上がります。
意識の無い患者を見たら、心臓マッサージと救急要請が最初にすべきことです。
多くの救急病院では、救急車で来院したかどうかによって、初期対応が大きく異なります。
しかしこのことを「悪用」して、外来診察の順番を早めるために救急車を利用するのは、言語道断です。
それと同様に、タクシー代わりに救急車を利用するなら、タクシー代を払えということになるでしょう。
経済的理由があったとしても、それは別の制度によって救済されるべきで、救急車を使うのは間違いです。
軽い病状による救急搬送件数を減らし、救急医療は重症患者に集中させるべきです。
ただ、病状が重症かどうかを正しく判断して救急要請しろ、というのも無茶な話です。
軽症なのに救急車を呼んだら有料、重症なら無料、という規則を作るのは、実際には難しいでしょう。