Googleは、その社員採用試験で「フェルミ推定」と呼ばれる種類の設問を、これまでに出題してきました。
突拍子もないモノの数量を、知識と理屈によって推論するものです。よく知られている過去問を挙げると、
(1)シカゴにピアノの調律師は何人いるか?
(2)1台のスクールバスにゴルフボールは何個入るか?
この手の問題、私は嫌いじゃありません。むしろ好き。
調律師の場合、シカゴの人口からピアノの数を推定し、調律頻度などを仮定していき、算出します。
ゴルフボールなら、バスの容積を概算し、ボールの詰め込み方を考慮しながら、割り出します。
いずれも、仮定に仮定を積み重ね、極めて誤差の大きい結論に到達しますが、それはかまわないのです。
適切な知識で妥当な推論がなされているかどうかが重要であり、試験官はその思考過程を評価するわけです。
驚くのは、この試験が口頭試問(面接)ってことです。このややこしい問題に、即答しなければなりません。
ところが最近Googleは、フェルミ推定のような設問は人材選別には効果がなかった、と発表しました。
そりゃそうでしょう。何をいまさら、って感じです。
採用試験での奇問は、Googleという会社のユニークさをアピールするのが目的ではなかったのですか?
いまのGoogleが採用基準として最優先するのは「学習能力」だそうです。なかでもとくに重要な資質は、
「新しいモノを見つけ、すぐに習得し、バラバラの情報から共通点を見出し、発展させる能力」だとのこと。
「情報を迅速に統合して応用する力」と言うこともできるでしょうか。
この能力を問う試験としては、フェルミ推定の設問も、あながち見当違いではないかもしれませんが。