薬物治療への抵抗

高血圧症や高脂血症や糖尿病など、いわゆる生活習慣病の治療の基本は「生活習慣の改善」です。

具体的には、食事療法と運動療法であり、端的に言えば、減量です。

しかし、病状が高度であったり、臓器障害を合併している場合などは、悠長に構えている余裕はありません。

遺伝的素因が強い場合も、生活習慣の改善だけでは、効果不十分です。

このような場合、薬物治療(内服治療)を始めることになりますが、患者さんには抵抗感もあるようです。

「薬を飲み始めたら、一生続けることになるんでしょう?」という質問を、しばしば受けます。

何かまるで、依存性のある薬物を始めるような、禁断の薬に手を付けてしまうような、そんなイメージです。

このとき、私の答えは以下の要領です。

「生活習慣の改善には時間がかかるでしょうから、それまでのつなぎとして、薬を飲んでおきましょう」

一生飲み続けるようなイメージを払拭します。

「薬の力を借りてでも、とりあえず血圧や血糖値を正常化すれば、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを減らせます」

いちばん怖いのは何なのか、再確認です。

「生活習慣の改善によって、やがて薬を弱めたり、中止することができるかもしれません」

現実には、なかなか難しい。