脳卒中

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-931.html" target="_blank" title="夏ミカン">夏ミカン</a>」の学名が、なぜ「夏ダイダイ」なのか、っていう宿題発表から。

夏ミカンって、収穫しなければ翌年までずっと、木にぶら下がっていますね。

前年の実と今年の実が同じ木になることから、「代々(ダイダイ)」と言うようになったとのこと。

ところが、代々という名前は「よよ」と読め、脳卒中の後遺症を表す「よいよい」につながると嫌われた。

そこで名称を「夏ミカン」に変更したけど、学名は「夏ダイダイ」のまま。

と、ここまでは「萩夏みかんセンター」のHPの受け売りです。

子どもの頃、よく耳にした「ちゅうぶ」という病名も、「よいよい」と同義でしょう。

当時、脳卒中(今で言う脳血管障害)と言えば、日本人の死因の第1位でした。

正確には、1951年にそれまでの結核を抜いてから、1981年に悪性新生物(ガン)に抜かれるまでの間です。

その後すぐに心疾患に第2位を譲り、3年前には肺炎にも抜かれて、現在死因の第4位です。

では、脳血管障害はどんどん減っているのかと言えば、そうではありません。減ったのは死亡数だけです。

驚くべきことにその患者数は、死亡第1位のガンとほぼ同数です。

昔の脳卒中の実態は「脳出血」でしたが、近年の脳血管障害の大半は「脳梗塞」です。

脳出血は、食生活の欧米化以前からある病気でした。戦前の死因としても、結核、肺炎に次ぐ第3位でした。

脳梗塞は、食生活の欧米化に伴って、ガンや心疾患とともに台頭してきた、生活習慣病のひとつです。

脳血管障害の死亡順位が下がったのは、医療の進歩によるものです。

その後遺症まで考えると、1位タイと言ってもいいぐらいの、重大な疾患でしょう。

平均余命

「10年前に前立腺ガンと診断されたとき、平均余命はあと10年と言われたのだが」と、相談を受けました。

予告された余命に達し、ひどく不安な状況であることは、よく理解できます。

このような場合、「平均余命」の意味を理解することによって、不安を解消することができるかもしれません。

たとえば、次のような説明はどうでしょうか。

「平均余命10年」という場合、10年以上生存できる確率が50%、10年未満の生存確率が50%です。

前者をAグループ、後者をBグループとすれば、宣告から10年を経過した時点で、Aグループ入り確定です。

ちょうど10年経ったひとには、「無事、Aグループ入りされましたね」と言うことができます。

あるいはまた、平均寿命にたとえて考えてみることで、不安を解消することができるかもしれません。

「平均寿命」とは、0歳の平均余命のことです。日本人男性の場合、それは約80歳です。

では、80歳を迎えた瞬間に、ひどく不安を感じる必要があるかといえば、そうではありません。

80歳の男性には、その時点における平均余命があり、厚労省の統計では約9年です。

つまり、80歳の人にとっての平均寿命は、89歳ということもできます。

89歳の男性の平均余命の資料がないのが残念ですが、90歳の場合の数値から推定すると、平均余命は約4年。

つまり、89歳の人にとっての平均寿命は、93歳と考えてもいいでしょう。

おそらく、93歳の人の平均余命は2年ぐらいでしょう。95歳の人は1年かもしれません。

そのように考えたら、アキレスと亀のごとく、寿命は無限に延びていくような気もしてきます。

だから前立腺ガンの余命10年をクリアできた方には、前途が広がったと考えても、間違いは無いでしょう。

語尾の無声化

報道番組で、STAP細胞の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-919.html" target="_blank" title="小保方氏の記者会見">小保方氏の記者会見</a>での発言を聞いていて、あらためて感じたことがあります。

内容はともかく、その発音です。ずっと違和感を感じていましたが、どうやら語尾に問題があるようです。

「STAP細胞は、あります」の「あります」の部分を「ありまふ」って言ってるんですね。

しかも語尾の「まふ」の最後の「ふ」は、ほぼ無声音。「ありまfu」じゃなくて「ありまf」って感じ。

これで思い出すのが、社会民主党前党首の福島瑞穂氏。この人の語尾は、小保方氏と真逆。くどいんです。

「あります」と言うべきところであれば「ありますぅ」みたいに言う。

日本語の発音は通常、語尾の「ます」の「す」は無声化します。「masu」じゃなくて「mas」みたいに。

福島氏は、これを敢えて「masuu」みたいにしゃべるわけです。聞いてて子どもっぽく感じます。

逆に小保方氏は、「maf」です。これまたこれで、幼稚っぽい。

母音の無声化には、ほかにもパターンがあるようですが、国語の時間にきちんと習った記憶がありません。

外国人のしゃべる日本語で、あまり無声化ができていないそうですが、関西人にも無声化が少ないとのこと。

なかなか面白いテーマなので、また別の機会に検討してみます。

小保方氏の発音はともかくとして、福島氏は、語尾を無声化しないのではなく、できないのかもしれません。

便の先生

いま、子どもたちの間で、胃腸炎が意外と流行しています。多くがウイルス性と思われます。

初日に発熱と嘔吐、遅れて下痢が3日間、といったパターンが多いですが、もちろん、症状はまちまちです。

便が白っぽくて酸臭がする場合、検査するとロタウイルスが出ることがありますが、違うことも多いです。

ウイルス性胃腸炎に特効薬はなく、脱水があれば点滴をするし、そうでなければ整腸剤などを処方します。

整腸剤に近い効果を期待して、ヨーグルトを食べさせる方がいますが、それは逆効果のことが多いです。

乳酸菌は有益な成分ですが、乳脂肪や乳糖が、下痢を起こしやすくするからです。

ちょうど今日、日経に腸内細菌についての特集記事がありましたが、驚いたこと2つ、笑えたこと1つ。

(1)人間1人の腸内には、500兆から1000兆個の細菌がいる。

人体の細胞数が60兆個なので、すごい数です。こんなに多いことが、最近わかったそうです、細菌だけに。

(2)人間1人の腸内細菌の重量は、1.5キログラム。

前にも聞いたことはありましたが、細菌だけで1.5キロの重量って、あらためて驚きます。

(3)理化学研究所の腸内細菌研究の第一人者の名前が、辨野義己(べんの・よしみ)先生。

失礼を承知で書きますが、「便の先生」って、言われたことあるでしょうね、きっと。

と思って調べたら、「いいうんち研究所」というサイトに「べんのいい話」という連載を発見。やりますな。

縫合用の絹糸

「富岡製糸場と絹産業遺産群」が、世界遺産になることが、ほぼ決まったようです。

昔、学校で富岡製糸場のことを習った時、生糸と絹糸ってどう違うんだろう、と思ったことがあります。

久々にそれを思い出したので調べてみたら、生糸を薬剤処理したものが絹糸なんですね。いま知りました。

1960年代ぐらいまでは、生糸生産量では日本が世界一でしたが、いまは中国がダントツです。

絹糸(けんし)といえば、外科手術の際の縫合糸として、ずいぶん使ったことがあります。

合成糸よりも値段が安く、結びやすいのにほどけにくい。一般外科領域では、一番ありきたりの糸でした。

しかし絹糸は蛋白質であり、複数の繊維が撚って(編んで)あり、しかも吸収されない(溶けない)糸です。

どの要素ひとつをとっても、感染には不利で、心臓血管外科領域で用いることはほとんどありませんでした。

日本以外で絹糸を縫合糸として使っている国が、ほとんどないと聞いたのも、ずいぶん前の話です。

外科の現場を離れて何年も経つので、現状はわかりませんが、今でも絹糸を使っているのでしょうか。

まだ使っているとしたら、かつての豊富な生糸生産があだとなった、悪習といえるかもしれません。

長時間心電図検査

不整脈も狭心症も、発症時の心電図異常を「現行犯」で捉えなければ、診断を確定することができません。

そこで、24時間連続して心電図を記録し、その決定的瞬間を記録するのが「長時間心電図検査」です。

あるいは逆に、動悸や胸痛が心臓とは無関係であることを確定するために、この検査を行う場合もあります。

検査法を考案したHolter(ホルター)博士の名にちなんで、「ホルター心電図検査」ともいいます。

小さな記録装置に、胸部に貼った数個の電極を接続して、一日中首からぶら下げます。

「ホルダー心電図検査」というのは間違いですが、まあ当たらずしも遠からずです。

ところで、最近Appleが「心拍認証」技術を特許申請したそうです。

心電図の波形によって個体を識別する仕組みなので「心電図認証」とも言えそうですが、疑問が2つ。

(1)手に持ったiPhoneや手首に装着したiWatchのようなデバイスで、良質な心電図を取得できるのか

(2)心拍数などが変動しても、安定した認証ができるのか

そこで思いついたのですが、心拍認証ができるぐらいなら、長時間心電図検査もできるだろう、と。

となると、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-929.html" target="_blank" title="ウエラブルデバイス">ウエラブルデバイス</a>を使えば、24時間どころか、無限に連続して心電図検査することが可能です。

その心電図を逐一、クラウドに保存することもできるでしょう。

万一、不整脈や狭心症の波形を捉えたら、即座に特定の連絡先に通知するという設定もできるでしょう。

ウエラブルデバイスには、「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-866.html" target="_blank" title="健康管理">健康管理</a>デバイス」の側面が、ますます強まっていきそうです。

トークンは安全か

某銀行から昨日、更新用の「トークン」が、ヤマト運輸の「セキュリティパッケージ」で送られてきました。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-451.html" target="_blank" title="以前にも">以前にも</a>、他行から送られてきたトークンの話を書きましたが、最近気になるニュースがあります。

トークンというのは「時刻に同期したワンタイムパスワードを生成するハードウェア」です。

今回送られてきたのは、いまは米EMC社の傘下となった「RSAセキュリティー社」製のものです。

トークンは、その本体が手元にある限り、パスワードは誰にも知られず、絶対安全と考えられます。

ただし、製造元のRSA社を信用するなら、という前提付きです。

ところが昨年、そのRSA社が、あの<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-612.html" target="_blank" title="NSA">NSA</a>(国家安全保障局)と裏取引をしていたことが発覚しました。

NSAがRSAに1000万ドル支払い、欠陥のある乱数発生技術を、RSAのソフトに潜り込ませたというのです。

この情報を暴露したのは誰あろう、エドワード・スノーデン氏です。

裏取引の目的はもちろん、NSAが暗号を解読しやすくするためです。

とにかくNSAというのは、何でも情報を知りたがる組織みたいですね。

トークンのコードなど、もはやNSAに筒抜けかもしれません。

私の口座の預金残高も、すでにNSAが把握していると考えるべきでしょう。

残高がなかなか増えないのも、あるいはNSAの工作かもしれません。

薬物治療への抵抗

高血圧症や高脂血症や糖尿病など、いわゆる生活習慣病の治療の基本は「生活習慣の改善」です。

具体的には、食事療法と運動療法であり、端的に言えば、減量です。

しかし、病状が高度であったり、臓器障害を合併している場合などは、悠長に構えている余裕はありません。

遺伝的素因が強い場合も、生活習慣の改善だけでは、効果不十分です。

このような場合、薬物治療(内服治療)を始めることになりますが、患者さんには抵抗感もあるようです。

「薬を飲み始めたら、一生続けることになるんでしょう?」という質問を、しばしば受けます。

何かまるで、依存性のある薬物を始めるような、禁断の薬に手を付けてしまうような、そんなイメージです。

このとき、私の答えは以下の要領です。

「生活習慣の改善には時間がかかるでしょうから、それまでのつなぎとして、薬を飲んでおきましょう」

一生飲み続けるようなイメージを払拭します。

「薬の力を借りてでも、とりあえず血圧や血糖値を正常化すれば、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを減らせます」

いちばん怖いのは何なのか、再確認です。

「生活習慣の改善によって、やがて薬を弱めたり、中止することができるかもしれません」

現実には、なかなか難しい。

パール柑

「パール柑」なるものを、この歳になって初めて知りました。

さっそく買ってみると、見た目は大ぶりのグレープフルーツですね。

ジュースにしてみましたが、酸味控えめで、あまり特徴のない味。皮を剥くのに難渋しました。

調べてみると、文旦の仲間らしい。ていうか、文旦とボンタンとザボンが同じものだと、今日知りました。

そのいずれも、これまでに食べた記憶がありません。ボンタンアメを食べたことがあるぐらいです。

熊本には「晩白柚(ばんぺいゆ)」なんてものもありますね。ザボンの仲間でとくにでかいヤツ。

それから「デコポン」なら2,3回、食べたことがあります。これは熊本果実連の登録商標ですか。

私は山口県で育ったので、温州ミカンと夏ミカンはよく食べましたが、最近はほとんど食べなくなりました。

たぶんその理由のひとつは、皮を剥くのが面倒だからかもしれません。

パール柑(ザボン)の学名は「Citrus maxima」だそうです。学名を調べてみると、なかなか面白いです。

「Citrus」はミカンの仲間を表します。「シトラス」と読めますが、ラテン語的には「キトルス」でしょう。

「maxia」の意味は想像できます。つまりザボンの学名は「すごく大きいミカン」ということでしょうね。

ラテン語は、ローマ帝国で用いられていた最盛期の発音が、現在用いられているそうです。

文字の通りに「ローマ字」読みすれば、ほぼ正しい発音になるので、日本人には意外と簡単です。

温州ミカンの学名は「Citrus unshu」、夏ミカンは「Citrus natsudaidai」。たしかにローマ字のようです。

ハッサク「Citrus hassaku」、スダチ「Citrus sudachi」など、日本語を含む学名の柑橘類が意外に多い。

もともと夏ダイダイだったものが、夏ミカンという名になったいきさつも面白いですが、ここでは割愛です。

朝の朝礼

挑発的なタイトルです。「朝礼は朝に決まってるでしょう」というツッコミ、お願いします。

開院当初は、毎日始業前に朝礼を行っていました。

並んだ職員たちを前にして、私がなにかネタをひとつ、えらそうにしゃべるという形式です。

クリニックを開業したらこういうことをやりたいと、前からずっと思っていたのです。

前日の診療中に起きた問題、とくにヒヤリ・ハット事例についての報告を、この場で行いました。

予防接種の取り決めなどがめまぐるしく変わるので、新制度について周知させるのも、朝礼の役割でした。

とくにネタがなければ、世の中の出来事とか、思いついたこととか、どうでもいい内容の日もありました。

しかしその5分間のために、朝一番から職員が全員揃うことには、困難を伴うようになりました。

夕方以降の超過勤務に対応するために、職員の出勤に、早出や遅出のシフトをつくったからです。

シフト通りに出勤すれば、職員の大半が朝礼に間に合わない、というジレンマが出てきました。

そもそも、家族持ちのスタッフ(主婦)が、毎朝8時半までに出勤することには、無理があったのです。

その結果、朝礼は早々に廃止となりました。こういうのを「朝礼暮改」と言いますウソ。