四面楚歌

歴史ドラマというのは、その結末は周知の事実なのに、それでも最後に大きな感動を呼び起こします。

テレビの中国歴史ドラマ「項羽と劉邦」(WOWOW)全80話がついに、完結しました。

項羽の楚軍と劉邦の漢軍が戦った「楚漢戦争」の最終局面は、「四面楚歌」という故事成語でも知られます。

この言葉は「周囲を敵に囲まれ孤立した状況」という意味で使われますが、あと一歩しっくりきません。

なぜなら、楚軍をとり囲んだ漢軍が、楚軍を孤立させるために歌うとしたら「漢歌」の方が自然です。

しかし実際には漢軍は、夜更けの暗いときに、楚軍になりすまして楚歌を歌ったのでした。これは計略です。

項羽はその楚歌を聞いて、楚の兵たちが漢軍に投降したものと思い込んで、絶望したわけです。

「なりすまし」によって「思い込み」をさせるなど、現代の詐欺にも通用する手口です。

四面楚歌とは「周囲を敵に囲まれて孤立したと思い込んだ状況」というのが、故事に忠実な解釈でしょうか。

以前書いた「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-797.html" target="_blank" title="背水の陣">背水の陣</a>」もそうです。実際には、絶体絶命の状況に見せかけて敵を油断させる計略でした。

考えてみるとあの時代って、計略だらけです。