痛みと心身反応

HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)のことを書いたのが<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-826.html" target="_blank" title="2週間前">2週間前</a>ですが、また少し動きがありました。

このワクチンの接種後に、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-592.html" target="_blank" title="CRPS">CRPS</a>をはじめとする、慢性の痛みや運動障害を訴える症例が出現した問題です。

昨日、厚労省の審議会で「痛みの原因は何か」ということが検討され、ついに、結論が出ました。

その原因の「候補」として、昨年末の審議会で論点整理されていたのは、以下の4つでした。

(1)薬液による神経システムの異常(神経疾患)

(2)薬液による細胞傷害(薬物中毒)

(3)薬液に対する免疫メカニズム(免疫反応)

(4)針の痛みや局所の腫れによる心身反応

医学的な分析・考察によって、原因は「痛みによる心身反応が慢性化したもの」と、結論づけられました。

注射針の痛みだけでなく、接種後に腫れてしばらく痛むことも含めた、「痛み」が原因という判断です。

たしかに他のワクチンと比べて、痛みや腫れの頻度がやや多いことも、報告されているようです。

しかし、定期接種ワクチンでは唯一の「筋肉注射」ワクチンであることが、何よりも特異的でしょう。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-75.html" target="_blank" title="以前にも書いた">以前にも書いた</a>ように、HPVワクチンは「若い女性ばかりが対象の、筋肉注射で痛いワクチン」なのです。

このワクチンの接種が広まり始めた3年前、接種後に失神する者が出たことが、大きく報じられました。

接種の痛みによる自律神経反射であり、安静にすればすぐに回復するものでした。

しかし、「このワクチンは、気を失うほど痛い」という情報が広まり、恐怖心が煽られたのも事実です。

そんな先入観をもって、不安の中で接種を受けたことが「心身反応」の一因じゃないかと、私は思います。

手袋は清潔か

浜松市の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-836.html" target="_blank" title="ノロウイルス感染事件">ノロウイルス感染事件</a>。パン工場での、手袋の扱い方に問題があったのかもしれません。

箱詰め前の検品作業の際、ウイルスで汚染された手袋で、パンに触った可能性が出てきました。

市生活衛生課は「洗い方が不十分な手からウイルスが広がった可能性」を指摘しています。

たしかに手洗いは大事です。しかしもうひとつ重要なのは「手袋の表面の清潔維持」だと思います。

いくら手洗いをしても、その手が絶対に清潔だという保証が無いから、手袋をするのです。

ならば、手袋の表面だけは、絶対確実に清潔でなければなりません。

ポイントは、手袋のはめ方です。手洗いをした手であっても、手袋の表面には絶対に触れてはなりません。

外科医が手術用の手袋を装着するとき、「手袋の表面には絶対に素手で触れない」というルールがあります。

そのため、手袋のはめ方には、厳密な作法が存在します。文章にするとややこしいですが、書いてみます。

(1)右手(素手)で、左手用の手袋の手首の折り返しの外側(手袋の内面)をつかみ、左手を挿入する。

(2)手袋をした左手指を、右手用の手袋の折り返しの内側(手袋の表面)に入れ、右手を挿入する。

(3)そのまま左手指で、右の手袋の折り返しを伸ばす。

(4)手袋をした右手指で、左の手袋の折り返しを伸ばす。

要は、「素手と手袋の内面は不潔と考える」「手袋の表面は絶対清潔を保つ」という原則を守ることです。

素手で手袋の表面に触れてしまったら、その手袋の表面は、素手と同程度の清潔状態でしかないのです。

風疹の集団感染

島根県の保育園で昨年、風疹の集団感染が起きていたと報じられました。

感染した22人の園児のうち18人は、MR(麻しん/風しん混合)ワクチンの接種を受けていたようです。

ワクチンの効果が不十分だったのでしょうか。

詳細な調査によって、十分なウイルス抗体価があるのに、1歳児で感染が多かったことが判明したそうです。

1歳児が、オモチャなどをなめたりくわえたりすることが原因ではないかと、推測されています。

予防接種による感染防御では、大量のウイルスに晒されると発症してしまう場合があるということです。

そしてその、大量のウイルス源となった最初の患者は、MRワクチン未接種の1歳の園児でした。

集団生活の中では、全員がきちんと免疫を付ける(接種を受ける)ことの重大さを、あらためて感じます。

MRワクチン第1期接種の対象年齢は「1歳」です。1歳0カ月から1歳11カ月の間なら、いつでもOKです。

しかし、感染を予防する目的を考えれば、規定年齢に到達したらすぐに、1歳0カ月で接種すべきでしょう。

一般に定期予防接種は、その対象が「年齢(月齢)」または「学年」で規定されています。

そして接種を受ける方には、大ざっぱにわけて2通りのパターンがあります。

(1)対象年齢(学年)になったらすぐ、接種を受ける

(2)対象年齢(学年)のギリギリになって、接種する

接種を「権利」と考えると(1)の発想になり、「義務」と受け取ると(2)になりがちです。

MRワクチン第2期接種の場合、対象は「年長児」。なのでこれから年度末にかけて、接種が増えます。

ギリギリで駆け込まず、ぜひ、早めの接種をお願いします。医療機関や行政による啓蒙活動も必要です。

デスクトップの整理

私は片付けが得意な人間ではありませんが、スッキリした空間や整然とした状態は好きです。

これらはけっして、矛盾するものではありません。では、実際にはどうすべきか。

「広い納戸に収納力のあるラックを配置して、捨てられないモノを一望できるように保管するのが理想」

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-227.html" target="_blank" title="以前">以前</a>そのように書いたことがあります。断捨離できない私の究極の整理法ですが、実現はほぼ不可能。

それではせめて、パソコンのデスクトップぐらいスッキリ片付けたい。これならすでに、実現できています。

「デスクトップには何も置かないこと」それが私のポリシーです。

常用しているMacのデスクトップには、ファイルやフォルダやアプリなどのアイコンが、何一つありません。

何も作業をしていないときは、壁紙があるだけです。スクリーンセーバーかと間違えるほどの潔さです。

何のことはない。かつてデスクトップを埋め尽くしていたアイコン類を、すべて移動しただけなのです。

書類フォルダ内部に「要処分」という名のフォルダを作って、その中に全部放り込んであります。

言ってみれば、片付いた部屋に見えても押し入れの中はガラクタだらけ、という状態なのです。

その場しのぎにみえますが、見える部分が整然としているだけでも、精神衛生上はずいぶん有益です。

「要処分」フォルダには、そのほかにも必要性の乏しいファイルが、毎日のように投げ込まれていきます。

それらのファイルは、ときどき思い出したように眺めて、潮時が来たら古いものからチビチビと処分します。

この暫定的な「ゴミ置き場」が、断捨離を決意するまでの、猶予を与えてくれるのです。

ノロウイルス検査

浜松市で、ノロウイルス感染によると思われる、1,000人を超える集団食中毒が発生しました。

その原因は、給食の食材のうち、食べる直前に火を通すことの無い、食パンだったようです。

大々的に報じられているのは、症状がとても重いからではなく、感染規模が大きいためです。

ただし、乳幼児や高齢者、あるいは基礎疾患のある方が罹患すると重症化しやすく、注意が必要です。

予防法や対処法、治療法については、新聞やテレビで詳しく解説されるでしょうから、今日は割愛します。

ここでは、ノロウイルス感染の「簡易検査法」について、以前とは少し異なる観点で書いてみます。

平成24年の4月から、簡易検査が保険適用となったので、当院でも検査キットを購入して準備しています。

その納入価格は、10回分のキットが定価15,000円(税抜き)。1回当たりの経費は約1,500円です。

その診療報酬は、1回当たり150点。つまり1,500円。なかなか厳しい設定になっています。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-427.html" target="_blank" title="1年ほど前にも書いた">1年ほど前にも書いた</a>ように、問題は、この検査の保険適用には年齢制限があることです。

簡単に言えば、3歳未満か、65歳以上か、癌の患者さんでなければ、保険がききません。

しかし、ノロウイルスが大流行するのは、保育園・幼稚園や小学校であり、3歳以上の患者さんも多いです。

また、飲食業や食品関係の職場の方々が、ノロウイルスの検査をして欲しい、と来院されることもあります。

そこであらためて、この検査における注意点をいくつか、お伝えしておきます。

(1)便をお持ちいただくか、院内で便を採っていただかないと、検査はできません。

(2)前述した年齢範囲などの方以外は、検査に保険がきかないので、自費診療になります。

(3)混合診療が禁止されているので、ノロの検査をすると、他の診療もすべて自費になる恐れがあります。

ちなみに、胃腸炎の原因がノロウイルス感染かどうかによって、治療内容が変わることはありません。

Excel文書

「表」も無ければ「計算」も無いのに、表計算ソフト「Microsoft Excel」で書かれた文書をよく見かけます。

行の頭揃えなど、文書のレイアウトを整えやすいからでしょうか。気持ちはわかります。しかし邪道です。

ワープロソフトの多彩な機能を使いこなせていない人が、表計算で文書を書くのだ、と言う人もいます。

たしかにその通りなのですが、かくいう私も、1ページの文書は表計算ソフトで書いていた頃がありました。

80年代半ばの話です。当時パソコンと言えば、「NEC」の9800シリーズとほぼ同義語でした。

そのOSはもちろん、Microsoftの「MS-DOS」でした。Windowsの前身というより、まったく別物です。

そしてワープロソフトといえば、ジャストシステムの「一太郎」が定番でした。

ちょうど「巨人・大鵬・卵焼き」のようなニュアンスで、「NEC・MS-DOS・一太郎」だったのです。

そのころの表計算ソフトの定番は、Excelではなく、「Lotus 1-2-3」でした。

ある時私は、1ページの文書であれば、一太郎よりもLotusで書いた方が簡単だということに気づきました。

当時の一太郎のレイアウト機能は、あまり洗練されておらず、Lotusの方が直感的だったのです。

いま使われている「Microsoft Word」などは逆に、多機能すぎて使いづらいのでしょうか。

でも、ワープロの「タブ」や「インデント」を、Excelの「セル」で代用したのでは、応用が利きません。

おまけに、WindowsのExcelで作成した文書をMacで開くと、もう、文字がズレまくってヒドイです。

WindowsとMacで互換性のある、シンプルでクールなワープロソフトを、誰か作ってくれませんかね。

ハンスト

25年前の天安門事件で武力弾圧された民主化運動のリーダーが、元日からハンストを開始したとのこと。

台北、北京、ニューヨークに在住する活動家3名が、同時に実行しているそうです。

このニュースで興味を引いたのは、ハンストが24時間ごとの「リレー形式」で行われているという部分です。

詳細は不明ですが、3人でリレーというのは、つまり、3日に1回、丸1日何も食べないってことでしょうか。

こう言ってはアレですが、あまり苦しいハンストではなさそうです。

ちょっとした、ダイエットになりそうな感じさえします。

すみません。茶化してはいけませんね。

おそらくこのハンストは、世界中の賛同者が「参加」しやすいように、敷居を低くしているのでしょう。

健康上の安全を確保するためにも、絶食を1日にとどめるのは、うまいやり方だと思います。

デモじゃないし、中国政府も取り締まりにくいでしょう。

中国全土にどんどん広がりそうな気もしますが、ネットでいくら調べても、続報を目にしません。

たぶん、リレーハンストって、地味な活動で盛り上がらないので、報道する側の熱も冷めたのでしょうね。

その後、参加者は増えたのでしょうか。増えたとしたら、リレーはどのようにして行うのでしょう。

仮に全員が厳密に「直列に」リレーするとなると、人数が多い場合、なかなか自分の順番が回ってきません。

一人一人が分担するハンスト時間を、短くしなければなりません。

数千人規模にでもなると、一人当たり数分間ぐらいでしょうか。ハンストしてる気がしないぐらい短いです。

鼻毛鯖

鼻毛の生えた鯖を想像すると笑えますが、違います。「鼻毛鯖」は、インターネットスラングのひとつです。

電子掲示板などをたまに読むと、スラングが多くて意味不明なことがあります。

いつも目を通しているIT系の情報サイトでも、記事ではなくコメント欄に、ネットスラングが登場します。

パソコン関連の用語なので、決して下品ではありませんが、不可解な言葉にもよく出会います。

今日はそれが「鼻毛鯖」でした。「鯖」=「サーバー」は知ってます。では「鼻毛」は何を意味するのか。

検索すればすぐわかりますが、何でもネット任せでは思考力が鈍ります。まずは自分の頭で考えてみました。

「ほめぱげ(Home Page)」と同じパターンとすれば、「はなげ」=Han Age? 半歳? わかりません。

降参してググってみると、以前NTT-X Storeで売り出された、NECの「Express5800/S70」のことでした。

汎用性にすぐれたサーバー機で、格安だったため、あっという間に売り切れた人気商品だったようです。

発売の際に、オマケで、Panasonicの鼻毛カッター(ER-GN10)が付いてきたそうです。

それで「鼻毛鯖」と、そういう由来でしたか。別名「鼻毛」とも。もはや、オマケが残って本体の痕跡無し。

ネット住人の思考回路って、面白いですね。基本的に、何でも短くしたがるようです。

ちなみに私の愛用カッターは、もっとスリムでかっこいい「ER-GN20」ですけどね。どうでもいいですか。

マスク着用

インフルエンザの季節になりました。おそらく熊本では、今月下旬頃から大流行しそうな雲行きです。

例年と異なるのは、A型とB型が同程度に流行していることです。珍しいパターンです。

いまからワクチンを接種しても、まだ間に合います。流行はたいてい、3月頃まで続くからです。

すでにインフルエンザに罹った人でも、それがA型だったのなら、B型の免疫はついていません。

ワクチンの有効性については議論もありますが、予防できるものは予防すべきだと、私は考えています。

少しでも強い免疫を獲得するために、当院職員は原則として、インフルエンザワクチンを2回接種します。

免疫のある状態で、インフルエンザの患者さんと接触することによって、免疫はますます強まります。

これが「ブースター効果」です。私などは、毎日何度も「ブースト」されているわけです。

ただし、私の免疫力を上回るウイルス攻撃に遭えば、ブーストでは済まず、発症することになります。

医療機関に限らず、接客業の場合、この時期はインフルエンザ感染のリスクが高まります。

ところが、「うちの職場では、予防したくてもマスクを装着できないのです」とおっしゃる方もいます。

「風邪をひいている」ように見られてしまい、客に敬遠されるからだそうです。

おそらくその職場の理屈では、本当に風邪をひいても、マスクは付けられないでしょう。

マスクがどれほど有効かはともかく、本末転倒な話です。

音数律

雑誌やテレビ番組等で、よく川柳を見かけますね、サラリーマン川柳とか、ペケポン川柳とか。

その内容はともかく、日本人はどうして、「五七調」とか「七五調」が好きなんでしょう。

もっと広く言えば「音数律」という話になります。日本人は「5音」と「7音」が好きなんですね。

だから字余りの句を聞くと、どこかもどかしく、アンバランスな気持ちになります。

おそらく私は、一般の方よりもずっと、字余りに対して違和感や不快感を感じていると思います。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-348.html" target="_blank" title="以前も書いた">以前も書いた</a>ように、奇数段の階段を登ると、足底にかかった圧力の非対称性が気になる人間なのです。

いつかこのブログを、音数律に則って書いてみたいと思いますが、これはなかなか難しいでしょう。

もしかすると、長ったらしい都々逸みたいになるかもしれません。

そういえば元日に、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-820.html" target="_blank" title="少々工夫を凝らしたブログ">少々工夫を凝らしたブログ</a>を書いたのですが、読者の皆さまには伝わったでしょうか。

「すべての行の文字数が同じ」というのも工夫のひとつですが、実はもっと別の「企て」があります。

それで思い出すのが、泡坂妻夫著の「しあわせの書ー迷探偵ヨギガンジーの心霊術」という本です。

読んだことのない方には、さっぱりでしょうけど、実に壮大な「仕掛け」が隠されていて、あっと驚きます。

ネタばらしはできません。でもこの本を書くのって、難しいけど楽しかったでしょうね。

ではいつか きっと誰もが 驚くほどの 仕掛けのブログ 書きましょう(都々逸風)。