「過去にさかのぼる」という言葉は、よく考えてみると不思議です。
「川をさかのぼる」と同様に、高い方に向かうイメージがあるからです。過去は上の方にあるのでしょうか。
たしかに、「時代が下って」などという表現もあります。
高い位置に過去があり、時は流れて下ってくるものなのでしょうか。
一方で、人も時代も前に向かって進んでいきます。「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」です。
これらを総合すると、未来は「前方」かつ「低い位置」にあると、そういうことになりますね。
つまり人生とは、どこかの山頂に生まれ、その山をだんだんと下り、平野を歩き回り、海に向かうものだと。
「人生は重荷を背負って山道を歩むがごとし」と言うと山を登る印象がありますが、実は下っているのかも。
もしも人生を「登山」に例えると、どのようなルートを辿っても、ゴールは山頂に限定されてしまいます。
しかし人生が「下山」なら、山を下りる方向、道の選び方によって、到達する平野もまるで異なります。
後者の方が、人生っぽくていいですね。