「口腔内崩壊錠」とは、口に入れると簡単にくだけて溶ける錠剤のこと。飲みやすくて便利です。
口腔内崩壊錠にもいくつか種類があって、おもなものが「OD錠」や「D錠」といわれるものです。
「OD」=Oral Disintegration、すなわち「口腔内で崩壊する」という意味。水なしで飲めます。
「D」だけだと、口では完全には崩壊しませんよ、ということになり、水なしでは口にざらつきが残ります。
私も時々、口腔内崩壊錠の胃薬を飲むことがあります。ほのかなミント味。微妙な甘さ。そこそこ美味しい。
しかし、子どもの薬剤誤飲事故を考えると、口腔内崩壊錠には特有の問題があるようです。
普通の錠剤なら、1錠目を飲んだ時点で美味しくないことに気付き、はき出すか、飲んでも1錠止まり。
ところがこれが口腔内崩壊錠だと、子どもにとってはラムネと同じ。バクバク食べてしまう危険があります。
3歳と2歳の兄妹が、合計25錠の精神薬を飲んで昏睡状態になった事例などが、最近報告されました。
もちろんこのような事故の責任は、第一に、親にあります。しかし、リスク管理は二重三重に行うべきです。
万一、親の薬剤管理がずさんであったとしても、子どもが口にしたがらないような工夫が必要です。
たとえば味。成人用の薬が美味しい必要はないでしょう。むしろ、もっと苦い「大人の味」にすべきです。
別の意味で「良薬口に苦し」です。