野次馬

Google Glassによるプライバシー問題は避けて通れない道だと<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-609.html" target="_blank" title="前に書きました">前に書きました</a>が、その通りになりそうです。

米国で、喧嘩から逮捕までの一部始終をGlassで撮影した映像がYou Tubeに投稿され、話題になっています。

投稿者曰く、「この動画は、Google Glassで市民ジャーナリズムが根本的に変わることを証明している」と。

通りすがりに出くわした騒動を見物するのは、いわゆる野次馬ですが、野次馬の行動には2段階あります。

(1)好奇心を満たす(興奮する)

(2)友人に広める(自慢する)

ケータイに<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-52.html" target="_blank" title="カメラ機能">カメラ機能</a>が付いたことにより(2)の側面が大きくなったことは間違いないでしょう。さらに、

(3)ネットに投稿する(さらなる優越感と満足感を得る)

これを「市民ジャーナリズム」というのはおこがましいですが、止められない流れかもしれません。

今回の米国の件で興味深いのは、以下の点です。

・撮影していることを、周囲の人が気付いていなかった

・喧嘩が始まる前から、撮影が開始されていた

つまり、誰にも知られず、事件性があろうとなかろうと、そこらへんを撮影する人間がいるということです。

自分が見ているモノを、一日中すべて撮影し、全部記録し、ネットで発信する。そんな社会がすぐそこです。

郵便受

私は毎朝7時ごろ職場に到着すると、まず、郵便受の新聞(日経)を取り出します。

ところがこの数日間、その時間帯にはまだ、朝刊が届いていなかったのです。

販売店の担当者が代わって、配達時間が遅くなったのか。手違いで配達そのものが行われなくなったのか。

そういえば、遅れても新聞がちゃんと届いたのかどうか、ウチの職員に確認していませんでした。

もしも最終的に配達されていないのであれば、販売店に連絡し、苦情のひとつも言わなければなりません。

今朝も来ていませんでした。郵便受の中味はカラっぽ。

まさか外側の差し入れ口にはさまってるんじゃないの?そう思って表をみたら、はさまっていました。

外側の差し入れ口にははさまっているのに、内側(裏側)からは見えない。不思議なことがあるものです。

新聞を外側から引き抜いてみると、さらにもう一部、別の新聞が見えました。

それも引き出すと、奥にもう一部、新聞がある。それも引っ張り出すと、また新聞。

どうなってるの、手品じゃあるまいし。どうやら新聞は「第3の空間」に詰まっていたようです。

郵便受の内部には、郵便物が滑り込み易いようにスロープが作られ、その下が空洞の構造だったようです。

そして何らかの力で底板の一部がめくれて、そのすき間から空洞内に新聞が入り込んでいたのです。

新聞を全部引き出すと、その奥には、あろうことか郵便物が詰まっていました。

重要な郵便物がこのようなカラクリで紛失することって、あるんですね。めったに無い?

慣熟訓練

アシアナ航空のボーイング777型機が、サンフランシスコの空港で着陸に失敗した事故が起きました。

その原因の詳細は、今後明らかになると思いますが、操縦ミスの可能性が指摘されています。

今回の飛行が副機長(副操縦士)の「慣熟訓練」であったことから、2つの点で問題視されています。

(1)副機長は、9800時間の飛行経験があるが、777の操縦経験は9回目、わずか43時間だった。

(2)教官役の機長はベテランだが、教官としては初めての経験だった。

このニュースを聞いてすぐ思ったことは、外科医の修練と似ている、ということです。

外科医が一人前になる過程では、見学、助手、執刀医、という順番で修練を積んでいきます。

基本的で平易な手術から、だんだんと複雑で難しい手術の執刀を経験し、実力をつけていきます。

もちろん修練医が執刀する際は、経験豊富な先輩外科医が助手として指導とサポートを行います。

修練中に突発的な事態が生じたときは、指導医が手助けをするか、状況によっては執刀を交代します。

しかし多くの指導医は「できるだけギリギリまで修練医に任せて、経験を積ませよう」と考えがちです。

急場をしのぐ経験こそが外科医を育てるのであり、どこまで任せきれるかで、指導医の手腕が問われます。

パイロットの訓練でも、おそらく似たような状況があるような気がします。

今回の事故は、機長がギリギリまで副機長に任せ過ぎたのではないかと、私は想像します。

教官経験が少ない機長が、「教官としての度量」を見せようとしたのかもしれません。

iWatch登録

Appleが、あちこちの国で「 iWatch 」という名称の商標登録を出願していると報じられています。

日本の特許庁への申請は6月3日。同時期に、ロシア、メキシコ、台湾、トルコでも出願したそうです。

Appleは認めてなくても、だいぶ前から開発計画がウワサされていたiWatchを、今頃商標登録?って感じ。

名前だけでも、もっと早くから登録しとかないと、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-312.html" target="_blank" title="中国にとられてしまう">中国にとられてしまう</a>でしょうに。

と思っていたら案の定、中国内の複数の企業が、iWatchの権利を主張しているとか。やっぱりね。

それどころか、Appleお膝元の米国や、英国やEUでも、別の企業がiWatchの商標を所有しているとのこと。

なんか、面倒くさいことになりそうです。

iWatchのような、身に付けるIT機器「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-609.html" target="_blank" title="ウエラブルデバイス">ウエラブルデバイス</a>」には、ほかに「Google Glass」があります。

さて、iWatchとGoogle Glass、どちらが成功するでしょうか。

デザインが良ければ、簡単に普及しそうなのはiWatchだと思います。生活は便利で快適になるでしょう。

Apple信者の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-530.html" target="_blank" title="踏み絵">踏み絵</a>」として買わされるのはイヤだと、以前言ったのは間違いでした。ぜひ買いたいです。

しかし敢えて言えば、私はGoogle Glassの方が夢があると思います。明らかに飛躍があるからです。

プライバシー問題など抱えていますが、逆に、未来社会のプライバシーのあり方を変えそうな気さえします。

本来このような、社会を変える<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-329.html" target="_blank" title="革新性">革新性</a>は、Appleの得意分野だったんですけどね。

手足口病

「手足口病」は、手と足と口の中に発疹ができる、こどもの感染症ですが、いま全国的に流行中です。

とくに九州で大流行のようで、当院でも毎日何人も受診されています。

この病気には、誤解されている点がいくつかあります。よくある質問をいくつかまとめてみました。

(1)前に罹(かか)ったことがあるのに、また罹るのですか?

原因となるウイルスは何種類もあります。なので何度も罹ります。

(2)手のひらや足の裏には発疹が出てないのに、手足口病なんですか?

膝や肘だけに発疹が出る場合もあります。逆に全身に発疹が出ることもあります。

(3)高熱は出ないのではないですか?

とくに今年の手足口病は高熱が出ますね、たいていは1日か2日で下がりますが。

(4)合併症の無い、軽い病気なんですよね?

髄膜炎や脳炎、心筋炎などの重篤な合併症が起きうる疾患です。頻度は少ないようですが。

(5)罹るのはこどもだけですよね?

こどもの手足口病が、親にうつることがよくあります。大人では熱は低いことが多いです。。

(6)発疹が枯れるまで登園できないですよね?

枯れてもしばらくは感染力があります。キリが無いので、元気なら登園しても良いことになっています。

「ヘルパンギーナ」という、高熱が出てノドに発疹ができる感染症も、そこそこ流行中しています。

手足口病とヘルパンギーナは、同じグループのウイルスが原因です。

今年の手足口病は、ヘルパンギーナの病状で発症し、翌日になって手足に発疹が出てくるものが多いです。

はじめ「ヘルパンギーナですね」と診断したのに、あとで「手足口病でしたね」と頭を掻くことになります。

これを「誤診」と言わないで下さい。両者にはきっと、明確な境界はないのです。

ノギス

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-280.html" target="_blank" title="ハンズマン">ハンズマン</a>で「ノギス」を買いました。

ご存じない方もいるかもしれませんが、長さを精密に測定することのできる器具です。

「本尺」と「副尺」からなる独特の機構によって、目視で0.1mm以下まで読み取れる仕組みです。

ノギスの購入目的は、ツベルクリン反応の判定で、皮膚の発赤や硬結の大きさ(直径)を測るためです。

当院ではこれまで、普通の「ものさし」を使って計測していました。

しかし丸い形の最大直径部分を、ものさしで正確に測るのは、意外と難しいのです。

一方ノギスは、物を挟む形で測るので、おのずと最大径を計測できることになります。

しかも測定対象を隠さないところもgoodです。

ノギス売り場に行くと、どうしても「デジタルノギス」や「ダイヤルノギス」に目を奪われがちです。

しかし残念ながら、それらはいずれも、ノギスのノギスらしい部分(副尺のバーニヤ目盛)を失っています。

だから今回買ったのは、通常型のノギス(新潟精機製)です。

バーニヤ目盛の原理を考えたのは、数学者のペトルス・ノニウスって人らしいです。

その「ノニウス」が日本人には発音しづらくて、「ノギス」になったという話。

この妙な、日本語とも外来語ともつかない名称ですが、ありそうで無いのが当て字なんですよね。

中国語では「游標卡尺」というらしいですが、これではピンときません。

で、いちおう考えてみました、「能規尺」。いまいちか。

マスコミの報道

新聞でもテレビでも、気になったことがあれば必ず、できるだけ早めにネットで確認します。

確認というのは、真偽を確かめるためと、情報をより深く掘り下げるためです。

ネットの情報なんて、いい加減なんじゃないの、と思う方もいるでしょう。

しかし私は、新聞やテレビが垂れ流している情報こそが、むしろ問題だと思っています。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-207.html" target="_blank" title="論調に偏り">論調に偏り</a>はあるし、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-75.html" target="_blank" title="視聴者を誘導">視聴者を誘導</a>したり、メディアにとって不都合なことをわざと報じなかったり。

とくに医療系のニュースは、掘り下げ方が浅く、本質をとらえていない報道が多いですね。

いやそれどころか、しばしば偏って報じられていると感じます。たとえば<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-620.html" target="_blank" title="子宮頸がん予防ワクチン問題">子宮頸がん予防ワクチン問題</a>とか。

マスコミというのは基本的に、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-518.html" target="_blank" title="医療機関に敵対した立場">医療機関に敵対した立場</a>をとりますね、どういうわけか。

ネットではさらに、医師や医療事故などを激しく攻撃・糾弾するブログがたくさんあります。

見て楽しくなるサイトではありませんが、私はあえて読んで回るようにしています。

この人たちはなぜ、ここまで感情的になっているのだろうかと、その背景や理屈を知りたいからです。

もちろん反対に、マスコミの誤りや偏向報道を指摘するブログにも出会います。

そういった人たちの方が、理屈も筋が通っているように見えますが、それは私のひいき目でしょうか。

メディアが伝えた情報に誤りがあれば、その誤りに気付いた人が、それを修正すべきだと思います。

情報発信力としてはきわめて微力ですが、私のブログもそういった立場で書いております。

ワクチン接種規制

厚労省はついに、MRワクチンの接種を制限する動きに出ました。<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-637.html" target="_blank" title="ワクチンが枯渇">ワクチンが枯渇</a>しそうだからです。曰く、

「今後、助成事業を開始しようとする市町村(特別区を含む。)又は都道府県にあっては、 接種の前に抗体検査を実施し、抗体価が十分でないと確認できた方を助成事業の対象とすること等について検討いただきたい」

厚労省から発せられたこの通知は、ワクチン接種費用を助成する自治体の動きを、牽制するものです。

つい先日まで世間は、「接種前にいちいち抗体価を確認するなど時間のムダ」という風潮でした。

ところがここに来て、「抗体価を確認せずに接種するなどワクチンのムダ」ということになるのです。

私も実は、抗体価の検査は必要だと思います。ただし、それは厚労省とは逆の理由です。

自分は免疫を持っていると思っていても、実際には抗体価が陰性の場合があるからです。

まず第一に、ワクチンで獲得した免疫は長持ちしません。だんだんと薄れていくと考えなければなりません。

たとえ風疹の罹患歴があったとしても、それが本当の風疹だったのかどうか、怪しい場合も多いです。

それどころか、本当に風疹に罹患した場合でも、終生免疫が得られるとは限らないのです。

いちど獲得した免疫は、追加免疫によって長期間維持されます。これを「ブースター効果」と言います。

これは数年ごとのワクチンの追加接種や、その感染症の自然流行への接触によってもたらされます。

ところが自然流行が減ってきた現在(今は流行していますが)、免疫は維持されにくくなってきたのです。

だから「自分は風疹にかかったことがある」と思っている自信過剰な人が、実はいちばん危ないのです。

シュレッダー

数年ぶりに、新しいシュレッダーを購入しました。

企業などで機密書類を処分するイメージのあるシュレッダーですが、医療機関にも欠かせないものです。

診療時に使う問診票などの処分に使うからです。

当院では、問診票は1,2カ月間保管しておき、古いモノから順にシュレッダーにかけます。

クリニックから出すゴミはすべて、産業廃棄物として専門業者に引き取ってもらうキマリです。

しかし産廃業者に任せる場合であっても、患者さんの個人情報が漏れないような工夫が必要です。

だからシュレッダーにかけた上で、業者に渡す必要があるのです。

機密文書廃棄の専門業者に処分を任せる、という手もありますが、ランニングコストが気になります。

書類を溶解処理する業者のダイレクトメールもよく受け取りますが、これも怪しげで気が進みません。

いっそのこと燃やしてしまおうと焼却炉を買いましたが、煙が近所迷惑なので、結局使わずじまい。

やはり院内で地道にシュレッダー処理するのが、無難なようです。

それならばせめて、手間のかからない大型機を導入しよう、というわけで、本日それが到着したのです。

いやあ、最新式シュレッダーって、すごいですね。

まず「オートフィード」。書類をドサッと置くだけで、勝手に吸い込んで処理していきます。

ホッチキスの針も、かまわず裁断です。

そして裁断方式は「クロスカット」。言ってみれば「みじん切り」です。

最近のシュレッダーでは標準だそうですが、私は今まで「千切り」しか見たことが無かったので驚きました。

新しい文具(シュレッダーも文具というのなら)を買うのって、ホントに楽しいですね。

ワクチン枯渇寸前

風疹予防のためのMR(麻疹/風疹混合)ワクチンが、本当に不足しそうな見通しです。

ワクチンが8月中に品切れになるかもしれない。そう厚労省が発表したことについては、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-619.html" target="_blank" title="以前書きました">以前書きました</a>。

しかし現実はもっと厳しく、実際の流通は今月中にも止まりそうな状況なのです。

9月以降にはメーカーの製造が追いつく見込みですが、8月に入ってワクチン接種が止まるかもしれません。

妊娠を希望する女性だけでなく、定期接種の対象者(1歳児と年長児)に接種できなくなるのも問題です。

ワクチンが、厚労省の試算以上のスピードで足りなくなりそうな原因は、以下の3つが考えられます。

(1)ワクチン接種の啓蒙活動が奏功した

(2)多くの自治体が接種費用の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-606.html" target="_blank" title="助成">助成</a>を始めた

(3)ワクチンが足りなくなると国が発表した

このうち(1)と(2)は、優先順位が高い人たちを接種に導く効果がありました。

妊婦の風疹感染による、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-554.html" target="_blank" title="先天性風疹症候群">先天性風疹症候群</a>(CRS)発症の危険性は、広く知られるようになってきました。

任意接種料金は約1万円と高額なので、少しでも安く、あるいは無料になればありがたい。

しかし(3)には問題があります。解決策がないのに「もうじき足りなくなる」と発表するのは無責任です。

いま国がすべきことは、海外のワクチンを<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-87.html" target="_blank" title="緊急輸入">緊急輸入</a>することでしょう。

すでに関東などでは、国内未承認のワクチンを個人輸入して接種する医療機関も増えているようです。

ところが国は、未承認の薬を使うことにはどうしても及び腰。

有効性よりも安全性を重要視し、疾病よりも副作用を怖れてきた、これまでの<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-23.html" target="_blank" title="ワクチン行政">ワクチン行政</a>の繰り返しです。

ワクチンで確実に防げる病気なのに、輸入してまでは接種しない。欧米の人たちには理解不能でしょうね。