ワクチンとADEM

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-592.html" target="_blank" title="HPVワクチン">HPVワクチン</a>(子宮頸がん予防ワクチン)接種後にADEMが3件起きたと、厚労省が先週公表しました。

「ADEM(急性散在性脳脊髄炎)」は、アレルギー性の急性脳脊髄炎です。

ワクチン接種後に発症することもありますが、ADEMの多くは、ウイルス感染の後などに起きます。

毎年、人口100万人あたり3人前後が発症しているとされてます。

平成17年、日本脳炎ワクチンの接種後に、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-604.html" target="_blank" title="重症ADEM">重症ADEM</a>が発生しました。

当時の日本脳炎ワクチン(旧ワクチン)は、マウスの脳を使って製造されていました。

ワクチンにはマウス脳由来の物質の混入が不可避のため、ADEMとの因果関係が疑われました。

同年5月30日、厚労省は「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-23.html" target="_blank" title="積極的勧奨の差し控え">積極的勧奨の差し控え</a>」を通知。「接種はお勧めしませんよ」という意味です。

旧ワクチン接種後のADEMを集計すると、その発生率は100~200万回の接種に1回程度と計算されました。

平成21年6月に、乾燥<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-570.html" target="_blank" title="細胞培養">細胞培養</a>日本脳炎ワクチン(新ワクチン)が導入され、われわれも一安心しました。

原理上、脳組織の混入は無く、ADEMが発生しない(きわめて発生しにくい)と考えられたからです。

ところがフタを開けてみると、昨年9月までの3年余りの間に、接種後のADEMが11例報告されています。

これはなんと、131万回の接種に1回の割合です。新ワクチンになっても、ADEMは減っていないのです。

しかし考えてみれば、ワクチンを接種しなくても、毎年100万人に3人のADEMが発生しているのです。

ワクチン接種後に起きたADEMが、はたしてワクチンによるものかどうか、根拠には乏しいかもしれません。

さて今回のHPVワクチンですが、ADEM発生は276万回の接種に1回の割合でした。

諸外国と同程度の、十分に低い数値です。これもワクチンが原因かどうかさえ、ほとんど確証はありません。

それをわざわざ公表した厚労省って、いまだにADEM恐怖症に陥っているのかと思えてしまいます。

かつての日本脳炎ワクチンの時と同じ轍を踏まないように、祈るばかりです。