運転停止中の高速増殖炉「もんじゅ」で、約1万個の機器の点検を怠っていたことが、問題視されています。
そうでなくても問題点の多い高速増殖炉ですが、マジメに開発する気あるんですかね。
その高速増殖炉の不思議な点は「燃料を燃やせば燃やすほど、燃料が増える」ということです。
ちょっと意味わかりませんね。何かが増えるのなら、何かが減らなくては説明がつきません。
小学生に訊かれたらどう答えたらいいのか。今日は、思いっきり簡略化して「増殖」の説明を試みました。
(1)ウランには2種類ある
「燃えるウラン」と「燃えないウラン」です。ここで「燃える」とは、核分裂して別の元素に変わること。
燃えるウランは、天然のウランのうちのわずか0.7%であり、資源の枯渇が心配されています。これが前提。
(2)普通の原発(軽水炉)で起きていること
燃えるウランが核分裂すると、熱と中性子を放出します。その熱を利用して発電します。
燃料を水で取り囲んで中性子の速度を減速しているので、中性子はウランに衝突しやすくなっています。
その中性子が、燃えるウランにぶつかると、また核分裂して熱と中性子を出します(連鎖反応)。
その中性子が、燃えないウランにぶつかると、ウランは核分裂せずにプルトニウムに変わります。
(3)高速増殖炉で起きていること
プルトニウムが核分裂すると、やはり熱と中性子を放出します。その熱を利用して発電します。
燃料をナトリウムで取り囲み中性子は高速のままなので、核分裂時には高速中性子がたくさん放出されます。
その中性子が、プルトニウムにぶつかると、また核分裂して熱と中性子を出します(連鎖反応)。
その中性子が、燃えないウランにぶつかると、ウランは核分裂せずにプルトニウムに変わります。
プルトニウム1個の核分裂で、理論的には1.2個以上のプルトニウムができるそうです。
このように、一見プルトニウムは「増殖」していますが、その分、燃えないウランを消費しているわけです。
「燃やせば燃やすほど燃料が増える」のではなく、「燃えないウランを使える原子炉」と言うべきでしょう。