日頃の診療において、患者さんが女性の場合には、妊娠の有無や授乳の有無を確認しています。
内服薬や注射薬を処方する上で、注意が必要だからです。
最近の風疹の流行を受けて、妊娠を希望する女性のワクチン接種が増えました。
<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-554.html" target="_blank" title="前にも書いた">前にも書いた</a>ように、妊婦の風疹感染は絶対に防がなければならないので、ワクチン接種はとても重要です。
第一に妊婦を希望する女性、さらにその周囲の家族も同様に接種を受けて、全員で風疹を予防すべきです。
問題は、もう何度も繰り返して言いますが、妊娠中には接種ができないということです。
なぜなら、風疹ワクチンの接種によって、風疹感染と同様の合併症を引き起こす可能性があるからです。
ただしこれは、理論上の話。
実際にワクチン接種によって先天性風疹症候群を発症した事例は、いまだかつて報告されていません。
もちろん、理論上危険性があれば、避けられるものは避けるべきでしょう。
しかしまた、接種の延期は風疹予防を先延ばしにすることになり、感染のリスクが犠牲となります。
妊娠がはっきりしていれば、当然ワクチン接種はしません。
難しいのは、「妊娠している可能性は完全には否定できない」といった、あくまで可能性レベルの場合。
大事をとって、接種を延期するのが通常ですが、接種の延期にもリスクがあることを忘れてはなりません。
関東や関西を中心に大流行している風疹は、人の移動とともに全国に広がっています。
とくに、お隣の鹿児島県での報告数は、関西をしのぐ勢いなので、熊本も安穏としてはおれません。
「妊娠の可能性」と「感染の危険性」をどう天秤にかけたらよいのか、ケースバイケースの難しい問題です。