私にとっての百人一首は、カルタの一種でも古典でもなく「なんとなく覚えているフレーズ集」です。
高校の時、古文の宿題で、百首の読みと意味と歌人の名前を全部、暗記させられました。
こどもの記憶力を高める訓練法としても、小倉百人一首の暗唱はよく勧められているようです。
暗唱しやすいフレーズと、挑戦しがいのある、ちょうどいい分量なのでしょう。
文字数でいえば「五・七・五・七・七」の三十一文字かける百で、約3,100文字です。
「約」と書いたのは、一部の歌には字余りがあるからです。
厳密な文字数を数えようと思い、字余りの歌を調べてみると、これが思いのほか奥が深い、面白い。
字余りの句にはたいてい「単独母音」が含まれていて、それによって母音が連続しているようです。
たとえば小野小町の歌でいうと、「花の色は移りにけりないたづらに」の「色」の「い」が単独母音です。
古い日本語では、母音が重なると、発音するときには一方が脱落しやすいらしいです。
なので「はなのいろは」は「はなにろは」と発音したのかもしれません(想像)。
文字に書くと字余りの句でも、実際には「音余り」にはなっていなかったのかもしれません。
こういうのって、もっと掘り下げて勉強したら面白そうですね。