ぼたもち

「おはぎ」と「ぼたもち」の違いについて、今朝の「めざましテレビ」を見て知りました。

地方によって呼び方が異なるのかな、ぐらいの認識でしたが、そうではありませんでしたね。

春は「牡丹餅(ぼたもち)」、秋は「御萩(おはぎ)」と、季節によって言い換えるのが正解でした。

少し調べてみると、春と秋だけでなく、夏は「夜船」、冬は「北窓」と呼ぶこともあるそうです。

これはさすがに、こじつけ(後付け)でしょう。

お彼岸に食べるこの餅は、仏教との関係も深く、語源をサンスクリット語に求める考え方もあるそうです。

こっちの方が神秘的で面白そう。いつか調べて報告します(予定)。

ぼたもちで思い出すのは、中学校の時に習った「宇治拾遺物語」の中の一話。

「児の掻餅するに空寝したる事(ちごのかいもちひするにそらねしたること)」という題名の話がそれです。

ご存じの方も多いでしょうが、私の好きな話なので、かいつまんで書いてみますと・・・

比叡山延暦寺で僧たちが、「さあ、ぼたもちを作ろう」と言ってるのを、寺の子が耳にして期待します。

寝たふりして待ってると、できあがったようで、ある僧が起こしに来ます。「もしもし、起きなされ」と。

すぐ返事したのでは体裁が悪いので、寝たふりを続けたところ、僧たちは「寝かしておこう」と言い始める。

聞いているとムシャムシャと食べる音が聞こえ、我慢しきれず「はい」と間抜けに起き上がり、笑われます。

宇治拾遺物語には、こんなどうでもいい小話や、やや下品な説話が盛りだくさんで、私は好きです。

幕末モノ

大河ドラマ「八重の桜」の視聴率が低迷しているとのこと。

昨年の「平清盛」がアレだったので、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-460.html" target="_blank" title="今回は期待">今回は期待</a>していたのですが、たしかに疑問に感じることは多いです。

幕末モノなのに、なぜかのめり込めない。どうも倒幕勢力の描き方が薄っぺらいのです。

私と「同郷の」安倍首相も、同じようなご意見のようで、次のようなコメントをしたとか。

「吉田松陰の描き方は失敗だったよね。荒っぽすぎる。

 あとは久坂玄瑞もちょっと軽く描きすぎ。あれじゃ長州をバカにしすぎだよ」

吉田松陰もひどかったけど、坂本龍馬に至っては、一瞬後ろ姿が見えただけ。エキストラ扱いです。

もちろんわざと、そのように描いているのでしょう。

「八重の桜」はあくまでも、会津の視点から幕末を描いたドラマなのです。

しかし、薩長土肥の志士たちには、ファンが多いことを忘れてはなりません。

それらの人物が、やがてどれほどの事を成し、後にどういう人物になったかを、誰もがよく知っています。

だから今回のドラマでも、彼らがチラッと登場しただけで「出たな」と感じ、ワクワクするのです。

その彼らをすべて敵に回すからには、あまり感情移入させないように、サラッと描くしかないのでしょう。

小麦粉と虫

家庭用の「お好み焼き粉」に繁殖したダニが原因で、喘息などのアレルギー症状が出た、とのニュース。

これを読んで思い出したことなどを書きますが、お食事中の方は、ご注意下さい。

そのお好み焼き粉からは、1グラムあたり2万2800匹の「ヒョウヒダニ」が見つかったそうです。多いね。

ダニの数の多さからすると、目で見てお好み焼き粉とは区別できないほどの「微粉末」だったと思われます。

だからそのまま、水や卵や刻んだ具材を加え、混ぜ、焼いたのでしょう。

よく焼いたのなら、食べたダニはすべて死骸ですが、それでもアレルギーは引き起こします。

小麦粉からはダニのほかに、1ミリぐらいの大きさの虫も、涌(わ)いてくることがあります。

お好み焼きと言えば、私も学生時代には、ときどき自分で作って食べていました。なにしろ手軽ですから。

ケチなので専用のお好み焼き粉なんて買わず、特大のお徳用の小麦粉を買って使っていました。

さすがに大袋なので、一人暮らしではなかなか消費できず、余った小麦粉は何年もほったらかしです。

台所の棚には「ゴマ」が散らかっていましたが、清掃するでもなく、これもほったらかしにしていました。

たまに棚の扉を開けるたびに、何か違和感は感じていましたが、見て見ぬふりをしていたのかもしれません。

年月が過ぎ、ついに棚板の色が見えないほどにゴマが敷き詰められた状態になって、やっと気付いたのです。

これはゴマではない、と。考えてみれば、私はそれまでにゴマなんて買ったことすらありませんでした。

どうやらそのゴマは、小麦粉の紙袋の破れた部分から、何百何千とあふれ出てきているようです。

おそるおそる覗き込んだその袋の中には、小麦粉ではなく、ゴマのような虫がギッシリと詰まっていました。

出席停止

大型連休に突入し、今日などはポカポカ陽気でしたが、いまだに一部地域ではインフルエンザが流行中です。

インフルエンザに罹患すると、本人の健康上の問題だけでなく、周囲への感染拡大が問題となります。

本人は元気になったとしても、学校としては登校を差し控えさせる、それが「出席停止」です。

学校保健安全法第十九条で、出席停止について以下のように定められています。

 「校長は(中略)政令で定めるところにより、出席を停止させることができる」

学校保健安全法施行令(政令)第六条第二項では、

 「出席停止の期間は(中略)文部科学省令で定める基準による」

学校保健安全法施行規則(省令)第十九条でようやく具体的に規定されています。インフルエンザ関連では、

 「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあつては、三日)を経過するまで」

以前は「解熱後2日間」だけでしたが、昨年4月から「発症後5日を経過」の部分が加わりました。

昨今、抗インフルエンザ薬によって解熱が早くなり、熱だけを感染力の指標にはできなくなったからです。

発症後5日とは、発症日を0日として数えるので発症5日後までを意味し、出席停止期間は全部で6日間です。

これはけっこう長い。早々と解熱して元気になったお子さんは、暇をもてあまし、親も困ります。

どのタイミングで「発症」したと判断するのかで、出席停止期間が1日変わる場合もあります。

「夜から寒気があって、朝起きたとき39度だった」という人の発症は、今日でしょうか昨日でしょうか。

諸事情を考慮して、総合的に判定することになります。

(蛇足)

医療の世界では、熱を下げることを「解熱」、熱が下がることを「下熱」と使い分けています。

なので法律文の「解熱」には違和感があります。

細胞培養ワクチン

中国の「鳥インフルエンザ」が拡大しています。世界的な大流行(パンデミック)が心配です。

その対策のひとつとして、日本ではインフルエンザワクチンの製造方法が大きく変わろうとしています。

インフルエンザワクチンの一般的な製造工程は、ざっと次の通りです。

 ウイルス株(型)選定 → 製造(培養→分離→化学処理) → 自家検定 → 国家検定 → 出荷

最短で半年以上、国民全員分を製造するには1年半以上かかるそうです。「培養」が手間なのです。

そこで、パンデミックワクチンを迅速に製造するための切り札が「細胞培養法」です。

従来の製造法である「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-246.html" target="_blank" title="鶏卵培養法">鶏卵培養法</a>」と比較してみましょう(久々に長いです)。

(1)鶏卵培養法

現時点で、国内メーカーが製造・販売しているインフルエンザワクチンは、すべてこれです。

ワクチン専用に飼育されている、生後半年から1年以内の若鶏が生んだ、10〜12日目の有精卵を使います。

卵の中の「尿膜」という袋にウイルスを接種し、3日間培養して増殖させ、その後化学処理等を行います。

数千万個以上の膨大な数の鶏卵が必要であり、鶏を育てるための期間と飼育設備も必要です。

鳥インフルエンザのパンデミックの際には、鶏の移動が制限されて、製造に支障が出る可能性があります。

(2)細胞培養法

大きな容器に、大量の細胞液とインフルエンザウイルスを混ぜ込んで培養する、実に単純な大量生産法です。

使用する細胞では「Vero細胞」が有名。これは「アフリカミドリザル」の腎臓細胞に由来するものです。

イヌ腎臓細胞由来の「MDCK細胞」や、アヒル由来の「EB66細胞」も使われます。

2009年の新型インフルエンザ騒ぎの時に輸入したワクチンの片方は、MDCK細胞で作ったものでした。

インフルエンザ以外では、現在使われている日本脳炎ワクチンが、Vero細胞培養によって製造されています。

(3)遺伝子組換え

インフルエンザウイルスを用いない方法です。使うのは、ウイルス抗原の遺伝子情報だけ。

この情報を「バキュロウイルス」に組み込んだ後に、それを昆虫(蛾)由来の細胞に感染させて培養します。

あとは(2)と同様なので、広い意味では「細胞培養法」に入ります。

インフルエンザウイルスそのものは使わないので、安全性が高いそうです。「蛾」が気になりますけどね。

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)のうちの「サーバリックス」も、この方法で製造されています。

2011年に厚労省は「細胞培養法ワクチン実生産施設整備等推進事業」に4社を採択し、助成を決めました。

選ばれたのは、武田薬品、化血研、北里第一三共ワクチン、阪大微研の4社。助成総額は1,000億円。

武田薬品(Vero細胞)と化血研(EB66細胞)の開発が進んでおり、本年度からの量産が期待されます。

一方、第一三共の開発は遅れ、阪大微研は撤退を決めました。両社MDCK細胞なのは偶然か。

遺伝子組換えによってワクチンを製造しているのは「UMNファーマ」という、秋田のベンチャー企業です。

厚労省の採択には漏れましたが、アステラスと共同開発を進め、IHIの出資も受けて勢いづいています。

ノロウイルスやロタウイルスのワクチンも、同じ手法による製造を開発中とのこと。

こういうメーカーって、応援したくなりますね。ちょうど、大動物と互角に闘う昆虫のイメージです。

阪大微研が国に返還した240億円を、UMNファーマに回してやってはどうでしょうか、厚労省の方。

健康食品のCM

健康食品のCMや広告って、概して「うさん臭い」ですね。

この手の商品は、中小メーカーのものが多いのですが、最近では一流企業系のCMが気になります。

よく目につくのが「サントリーウエルネス」の「セサミン」。

TV-CMだけでなく、ウェブ広告でもやたら目に付きますが、それがかえってインチキ臭い。

ウイスキーのCMでは定評のある親会社「サントリー」が、どうしてこんな三流CMを許すのでしょう。

「協和醗酵バイオ」の「オルニチン」のCMもいかがなものか。

CMに登場する草野仁氏ご自身が、この商品をあまり信用していない雰囲気が伝わって、やりきれません。

オルニチンのウェブサイトには、次のような「愛用者の感想」がありました。

「寝る前に6粒飲んでいますが、成長ホルモン分泌時に大いに働いてくれそうな想像をしながら寝ています」

って、もはや服用後の感想ですらない。

健康食品は医薬品ではないので、効能や効果があるという表現は「薬事法」によって規制されています。

したがって、効能・効果に関しては、あくまで「個人の感想」という形で表示しなければなりません。

あるCMで、医師がその効能を解説するシーンに、「個人の感想です」とテロップが出たのには笑いました。

選挙とハッキング

「ホワイトハウスで爆発があり、オバマ大統領が負傷した」というニュースは、ガセでした。

AP通信のTwitterアカウントがハッキングされたための誤報でしたが、一時米国の株価は急落したそうです。

日本では先週、インターネットを使った選挙運動を解禁する、公職選挙法改正法案が可決・成立しました。

ネット選挙では「なりすまし」が危惧されています。

候補者のサイトが「純正」であることを証明するシステムの導入が必須です。

しかし「ハッキング」された場合には、純正サイトでありながら、その中身を書き換えられてしまいます。

候補者や政党のサイトのみならず、報道機関や選管や総務省ですら、その標的となり得ます。

ホワイトハウスの件は、あまりに見え透いた「愉快犯」でしたが、悪質なハッキングは、もっと巧妙です。

おまけに選挙においては、投票日という期限があります。

投票日直前にサイト内の情報が改ざんされたとき、それを修正するための時間的余裕がないかもしれません。

政党レベルならまだしも、候補者個人のサイトのセキュリティーは、かなり脆弱なものもあるでしょう。

対策が不十分なサイトでは、多くの問題が露呈しそうな気がします。

この夏の参議院選挙は、中国からのサイバー攻撃に振り回されるのではないかと、私は心配しています。

背高泡立草

「ヒノキ」花粉症は、たいてい連休明けまで続くものですが、どうも今年は早々とピークを過ぎたようです。

これから夏までは「イネ科」植物の花粉が飛散し、夏から秋には「ブタクサ」アレルギーが悪化します。

米国では、ブタクサが花粉症の主要な原因だそうです。

「セイタカアワダチソウ(背高泡立草)」は、ブタクサとは異なる植物です。

しかしかつては、アレルギーの原因だと疑われました。濡れ衣でしたが、まだ風評は続いているようです。

セイタカアワダチソウは、ミツバチなどに花粉を媒介させる植物であり、花粉は風では飛ばないそうです。

こどもの頃は、どこの空き地にも、セイタカアワダチソウがジャングルのように密生していました。

背丈よりも高く、茎は太くて頑丈で、その茂みは「秘密基地」を作るのには最適の環境でした。

セイタカアワダチソウは、根から化学物質を分泌して周囲の植物の成長を抑制しているそうです。

その結果、セイタカアワダチソウは群落を作り、こどもたちに探検場所を提供していたわけです。

このような、植物が化学物質によってで周囲に影響を及ぼす作用を「アレロパシー」というそうです。

地中に何年間もたまったアレロパシー物質は、やがてセイタカアワダチソウ自身の生育をも抑制し始めます。

これを「自家中毒」というそうです。人間と同じ病態名を使うのが面白い。

最近、セイタカアワダチソウのジャングルを、あまり見かけなくなりましたが、自家中毒のためでしょうか。

それとも空き地が減ったせいなのか。あるいは単に、私が空き地に目を向けなくなっただけなのかも。

四川大地震

四川というのは、内陸部にありながら、よく地震が起きる場所なんですね。

どうやらここは、ユーラシアプレートとインドプレートが衝突する場所の、東端にあたるようです。

ちなみに、この2つのプレートの衝突によって「せり上がった」のがヒマラヤ山脈です。

私はしかし、震源地が「四川省雅安市蘆山県」と聞いて、興味がその「蘆山」に移りました。

なぜなら、名峰「廬山」と勘違いしたからです。だって、字が似てるでしょう。

廬山といえば、古代から神聖な場所で、山水画以外にも、多くの芸術を生み出した場所です。

司馬遷が、見聞を広めるための諸国漫遊の旅で、まずこの地に訪れたことが「史記」にも書いてあります。

ついでに調べてみると、この廬山も、ヒマラヤと同じメカニズムによってせり上がった地形のようです。

ということは、蘆山と廬山は、あながち無縁では無いということです。

そうなってくると、次に気になるのは、お笑いコンビ「ロザン」のとの関係でしょう。

漫画「聖闘士星矢」に出てくる必殺技「廬山昇龍覇」からとった名前であることは、ググってわかりました。

この技は、ドラゴン紫龍なる登場人物が、廬山で修行して体得したものだそうです。つながりましたね。

残念ながら、私はこの漫画を読んだことがないので、その技がどんなものなのか、サッパリわかりません。

ていうか、今日はとくに話がズレました。

伝達ミス

診療現場に限りませんが、誰かに何かを頼んだとき、その依頼内容が間違って受け取られることがあります。

複雑な内容ならともかく、ごく単純なオーダーでも、取り違えが起きます。

たいていの場合、その原因は「思い込み」によるものです。

いつも慣れっこになっていることであればあるほど、あまり考えずに反射的に行動してしまいます。

「ダブルチェック」といって2人で確認しても、2人そろって、同じような思い込みをすることもあります。

そもそもダブルチェックは、集中力と責任が分散するので、私は必ずしも有効な方法とは思いません。

では、伝達ミスを防ぐための、効果的な方法はあるのでしょうか。

「よく気をつけましょう」「注意しましょう」「確認しましょう」という精神論は論外です。

最近私が考案した解決策は、反射的行動を防ぐために、あえて複雑な頼み方をすることです。

どゆこと? と思われるでしょうから、例を挙げてみます。

血液検査で、Aという項目をオーダーする場合、かつては「復唱による確認」を行っていました。

 私「Aお願いします」

 看「Aですね」

しかしこのようなオウム返しでは、確認になっていませんでした。大脳が働いていなかったのです。

現在のオーダー方法では、「変換作業を伴う確認」を行っています。

 私(Aは17番と決めてあるので)「17番お願いします」 

 看(17番とはAを意味するので)「Aですね」

変換作業の際に少し頭を使うので、オウム返しにならず、依頼内容が記憶に残る形で伝達されるわけです。

妙ちくりんなオーダー方法ですが、いまのところ、伝達ミスが起きそうな気配はなさそうです。