結核を予防するワクチン「BCG」の接種は、法律で規定された定期予防接種のひとつです。
その接種対象年齢(月齢)が、4月から変わります。
これまでの接種対象は「生後6月に至るまでの間にある者」と定められていました。
新生児でも接種できますが、とくに生後3カ月〜6カ月未満が「標準的」接種時期とされてきました。
重症結核の予防を考えたら、なるべく早めに接種すべきです。しかし副作用を考慮すると遅めがいいのです。
最近の調査では、生後4カ月までにBCGを接種すると、骨炎や骨髄炎が起きやすいことが判明しました。
そこで今回、接種年齢を「生後1歳に至るまでの間にある者」に広げたというわけです。
副作用を減らし、小児結核も防ぐ観点から、標準的接種時期は「生後5カ月〜8カ月未満」となりました。
環境が改善し、結核のリスクが減ってきた現在、副作用を減らす方向に接種時期をシフトするのは妥当です。
乳児早期に接種すべきワクチンの種類も増えたので、BCGを遅くできるのはスケジュール的にも好都合です。
しかし、これまでのBCG接種規定からは少し飛躍した改定であり、現場では多少の混乱が予想されます。
なにしろこれまで「5カ月までに接種して下さい」だったのが、「5カ月以降にしましょう」に変わるのです。
「早めに接種しましょうね」と言ってたのに、手のひらを返したように「早すぎない方がいいよ」なのです。
今までは何だったの、って話です。保護者の方には、きちんとした説明を行わなければなりません。
厚労省がこの方針を決めたのは昨年11月。改正政令が公布されたのが本年2月1日です。
私はそれ以後、多くのお子さんのBCG接種を4月以降に延期する方針とし、他の予防接種を優先しました。
その子たちはいま、BCG未接種のまま満6カ月を過ぎ、現行の規定には違反した状態に突入しています。
でも大丈夫。4月には再び、正規の接種対象に復帰することになるからです。ちょっとおかしな感じです。