日銀総裁人事の政府案が、ようやく黒田東彦氏で固まったようです。
私の関心事はしかし、黒田氏の金融政策よりも、先日撤廃された「事前報道ルール」の方です。
「政府の国会同意人事案が事前に報道された場合、原則として国会への提示を認めない」
マスコミにスクープされたら、その人物は候補から外れるという、奇妙で理不尽な取り決めです。
極端な話、イヤな人物が候補になりそうなら、ウソの情報を流して「つぶす」こともできるわけです。
マスコミに嫌われた候補者は必ず落選するという、バカげたことにもなりかねません。
そこまでのことはなくても、このルールが人事の停滞を招いたことは事実です。
こんなバカなことを決めたのは、2007年に「ねじれ国会」になった頃の、野党時代の民主党です。
国会同意人事には「衆院の優越」がないので、参院を制した民主党は「拒否権」を得たようなものです。
その拒否権を振りかざして、調子に乗って作ったのが、このルールというわけです。
「国会審議の形骸化を防ぐ」などという屁理屈に、よくも自民党が応じたものです。
民主党は自分が与党になって初めて、このルールが有害無益であることに気付きました。
ところがまた野党に転落したら、最近の公正取引委員長人事において、このルールの適用を主張する始末。
次々と墓穴を掘る民主党とは対照的に、安倍内閣の支持率はうなぎ登りのようです。