熊本県にインフルエンザ「注意報」が発令されました。天草では「警報」レベルとのこと。
市内の小学校なども、先週辺りから学級閉鎖が相次いでいます。
注意報や警報は、県内80カ所の「定点医療機関」から報告される患者数によって決められます。
定点1カ所当たりの1週間の患者数の平均値が、10を超えると注意報、30を超えると警報となります。
インフルエンザ患者として報告するための「届出基準」は、次のどちらかを満たす場合と定められています。
(1)「突然の発症、高熱、上気道炎症状、全身倦怠感等の全身症状」の4つすべてを満たすもの。
(2)「迅速診断キットによる病原体の抗原の検出」(鼻腔吸引または拭い液、または咽頭拭い液による)
妥当な基準ではありますが、実際の診療では、どちらの条件にも該当しない場合を考慮する必要があります。
(1)で言えば、熱がそれほど高くない場合や、上気道炎症状に乏しいインフルエンザが時々あるからです。
別の風邪の経過中にインフルエンザを発症した場合には、「突然の発症」には見えないこともあります。
(2)では、発症からの時間経過が短い場合には、迅速検査結果が陰性であることもよく経験することです。
そもそも迅速検査の「感度」は60%から80%程度ともいわれています。
もっと総合的に、周囲のインフルエンザ発生状況などの傍証までも加味して、診断しなければなりません。