政治家の演説を聞いていると、「てにをは」が気になります。「を」が多いのです。
たとえば先月、選挙結果を受けて、野田前首相はこう言いました。
「民主党の代表を辞任をいたします」
「を」が多い。どうしてこうなるのか。私の考えはこうです。
政治家は、言質を取られないために、言葉を選んで、区切りながらしゃべる癖があります。
それなのに失言が多いのは、また別の話。
区切るのは時間かせぎのためです。区切るためには「助詞」を付ける必要があります。その結果、
「民主党の、代表を、辞任を、いたします」
という、へんてこな文になってしまったのではないか。私はそう考えます。
「民主党の、代表の、辞任を、いたします」
これなら問題ないのですが、助詞の「の」が連続するので、無意識に「の」を避けてしまうのでしょう。
「民主党の、代表を、辞任、いたします」
書く文ならこれが普通ですが、話す文で「辞任」の体言止めは少し強すぎるので、抵抗があるのでしょう。
「民主党の、代表を、辞任を、することを、決意を、いたしました」
ときにはこんな感じの、くどい言い方も耳にします。とにかく政治家は「を」が多い。