5分間ルール

かつて診療報酬には、悪名高き「5分間ルール」というものがありました。

「医師は1人の患者さんを5分以上かけて診察すること」という規則です。

これを満たさない場合には、その患者さんの診察に対する診療報酬が、一定額(520円)差し引かれます。

「適正な診察時間は5分間である」というのがお役人の考えなのです。

看護師など、医師以外が行う問診時間などは、診察時間には算入できません。

カルテには、医師本人が5分以上診察を行った「証拠」を残さなくてはなりません。

いくらびっしりと丁寧な診察内容を記載しても、それでは何の証拠にもなりません。

逆に「診察時間5分以上」とか「診察時間OK」と、ひとこと記載しておけば、それだけでOKです。

もちろん自己申告なので、その内容がホントなのかどうかは、確認のしようもありません。

お役所が求めるのは「カタチ」なのです。「診察時間OK」と書いてあれば、「よろしい」となるのです。

この規則の最大の問題は、診療の「質」を無視して「量(時間の長さ)」だけを見ている点にあります。

さいわいにして、この制度は2年前に撤廃されましたが、お役所の体質は変わっていません。

今なお、カタチばかりを求めて医療現場を無視した杓子定規なルールが、たくさんあります。