TV番組で「寝台列車芸人」の話を聞いていて、思い出したことをふたつ。
初めて乗った寝台列車は、小学5年の時の「あさかぜ」です。防府駅から東京駅までの長旅でした。
寝たまま旅行するための列車ですが、私には寝るのがもったいなくて、可能な限り起きていました。
停車するたびに夜中の駅を眺め、その駅名と時刻をメモしていました。
大人になってからは、学会出張のとき、高松駅から東京駅まで「サンライズ瀬戸」に乗ったことがあります。
航空機で行けばすぐなのに、どうしても、運行を開始したばかりのその寝台列車に乗りたかったのです。
もちろん個室寝台です。壁面いっぱいに大きな窓があり、眺望は最高です。
個室なので気ままな下着姿で、ベッドに座ってビールを飲みながら、夜景を飽きることなく眺め続けます。
駅に停車するとき以外は、誰に見られるわけでもないので、ブラインドは全開です。
ところが列車が都市部に入って、予想もしていなかった事態が起きました。
線路脇にオフィスビルが立ち並んでおり、暗いビルの窓がちょうど鏡のように、列車を映し出したのです。
なんと、目の前、十数メートル先に映っているのは、下着姿でビールを片手にした私ではないですか。
いや、それだけではありません。よく見れば、私の両サイドや下にも、似たような姿のオッサンたちがいる!
あわててブラインドを閉めました。
寝台個室に乗るときには、とくに女性の方はくれぐれも、油断なきように。