血液型と輸血と献血

先日、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-315.html" target="_blank" title="血液型">血液型</a>について書いたあと思い出した「血液関連エピソード」がいくつかあります。

(1)血液型は変わるのか

あるおばあちゃんに血液型を尋ねたら「前はA型やった。今はわからん」とのお答え。

骨髄移植後などの特殊な場合を除いては、生まれたあとで血液型が変わることはありません。

しかし新生児期の検査ミス(判定間違い)や、本人の記憶違い(親の勘違い)は、しばしばあります。

(2)大手術時の血液準備

私が研修医の頃、心臓手術の当日の朝には、患者さんの家族や知人、同僚などに集まってもらっていました。

輸血用の新鮮血液を採取するためです。当時の血液供給事情と手術水準からは、それが日常的手法でした。

今でも「我が子の輸血は自分の血液で」と供血を希望される親御さんがおられますが、それはできません。

血縁が近いと、かえって重篤なアレルギー反応(移植片対宿主病)が起きやすいからです。

(3)献血するための条件

高血圧で薬(降圧剤)を飲んでいる方が献血できるのは、降圧剤が1種類であることが条件だそうです。

そのため「薬を1つに減らしてほしい」と希望される、献血ファンの方もいらっしゃいます。

2種類の薬を1錠にまとめた合剤に変えるという「秘策」もありますが、あまり正しい行いではないですね。

(4)輸血で何が変わるか

あるカーディーラーのお兄ちゃんと雑談をしてたら、以前、輸血したことがあるとのこと。

「輸血して何か体質が変わりましたか」と尋ねると

「髪の分け目が逆になりました」 メカニズムは不明。

手洗い

小学生の頃、私はトイレ(小)後に手を洗う習慣がありませんでした。

少なくとも、誰にも見られてなかったら、洗わなかったと思います。

時が流れ、やがて外科医になってからは、幼少期とは逆に、ひどく厳重に手を洗う日々が続きました。

外科医が「手洗いする」と言えば、手や腕を機械的かつ化学的に、洗浄・消毒するという意味です。

手洗いを終え、手袋をして、術衣を着た外科医は、滅菌されたモノにしか触れることができません。

ちょっとでも、何か無滅菌のモノに接触してしまったと感じたら、最低でも、術衣と手袋を取り替えます。

場合によっては、手洗いからやり直しです。

そんな職業経験もあって、私はどうも、中途半端に不潔恐怖症です。

トイレで時々、トイレットペーパーの先が三角に折りたたんであるのを目にします。

ペーパー使用後には、その先を折ることがエチケットだと、そう勘違いしている方がいるようです。

その方ははたして、トイレの後で自分の手を洗ってから、ペーパーを折りたたんでいるのでしょうか。

三角折りはもともと、トイレが清掃済みであることをアピールするためのものだと言われています。

しかしその清掃の方も、清掃用ゴム手袋をはずしてから、折りたたんでいるのかどうか。

そんなことは気になるのですが、自分の書斎の散らかし具合には無頓着です。

左利き

ワクチンは、左腕に接種することが多いです。

あとで痛むかもしれないので、利き手ではない方に接種しておくわけです。

ただし左利きの方は、右腕への接種を第一選択にします。

当院のワクチン接種台帳には、利き手を記載する欄を作っています。何かの役に立つかもしれないので。

右利きは「R」左利きは「L」をチェックします。

最近は「B」も作りました。「両利き」の意味です。

こどもの頃は、両利きにあこがれました。

きっかけは水森亜土。かつて一世を風靡した、イラストレーター(マルチタレント?)です。

両手で同時にイラストを描くのが彼女の特技でしたが、これはむしろ、脳の特性なのかもしれません。

いま何歳なんだろうと、失礼ながら調べてみたら、72歳でした。まだ(失礼)ご活躍中のようです。

世の中はおおむね、左利きには不便にできています。

外科手術に携わっている頃、右利きで良かったとつくづく思いました。道具が全部、右利き用だからです。

しかしまた、両利きであればもっといいのに、と思ったこともあります。

手術操作上、両手に器用さが求められる瞬間が時々あるからです。

あるいは、右向きに深く腕を挿入して何らかの操作を行う場合、その時だけは左利きが有利です。

お子さんの左利きを矯正する方には、くれぐれも、左手の器用さも保つようにお願いします。

将来きっと役に立ちます。

マネられること

Appleとサムスンの泥仕合が続いています。スマホやタブレットにおける訴訟合戦です。

争点は2つ。技術的な特許侵害と、意匠についての争いです。

とくに後者は、なかなか白黒つけにくいようです。

Appleにとっては、サムスンがAppleのデザインをマネようとした意図が証明できるかどうかがポイント。

一方でサムスンは、Appleのデザインがそれほど独創的ではないことを立証しようとしています。

Appleの方が原理的に有利な気がしますが、意外と苦労しているようです。

その典型例が、英国高等法院で先月下された判決。サムスンが勝訴しました。

サムスン製品は「シンプルさがなく」「クールではない」のでApple製品には似ていない、というのが理由。

Apple信者の私としては、「試合に負けて勝負に勝った」気分です。

最近のサムスンの、お得意の言い分はこうです。

「アップルだってソニーから着想を得ていたではないか」と。なるほど。

結局、良いものを突き詰めれば似てくる、ってことでしょうか。

先駆的で斬新なモノには「マネられる栄誉」が与えられるわけです。

マネられて目くじら立てるよりも、次の先駆的なモノを生み出すことを、Appleには期待します。

ながら執筆

「ブログをひとつ書くのに、どれぐらい時間がかかりますか」と、よく質問されます。

「平均で2,3日でしょうか」わざと、そう答えたりします。

「えっ、それじゃあ毎日は書けないでしょう」と、つっこんでもらうためです。

もちろんこれは、着想してから完成するまでの時間が平均2,3日ぐらい、という意味です。

その間ずっと書き続けているわけではありません。仕事もしてますし。

いくつかの書きかけのブログがあって、その推敲が同時進行しています。

あるいはホットな話題の場合は、思いついたその日のうちに掲載することも、しばしばあります。

実際の執筆は、書斎にこもって行うような集中作業ではありません。

たいていは、別のことをしながら書いてます。言ってみれば「ながら執筆」です。

TVを見ながら、本を読みながら、あるいはその両方をしながら、なんてことも多いです。

夕食中も例外ではありません。

口にモノを入れて、咀嚼している間は箸を置き、手がフリーになるので、ノートパソコンに触ります。

まったく行儀が悪いですが、時間の節約のためにはやむを得ません。モグモグしながら書いています。

どうしても咀嚼時間が長くなるので、健康のためにもきっと良いはず(言い訳)。

遺憾の意

韓国の大統領は、竹島訪問に次いで、天皇に対しても問題のある発言をしました。

これに対して野田首相が述べた言葉が「遺憾である」。

何ですか、この発言。弱い。弱すぎる。もっと激しく怒らないと。

だいたいこの「遺憾」という言葉を使うのが間違っているのです。

「残念」という意味ですが、怒ったときにも、怒られたときにも使う、実に妙な表現です。

「もう許さない」と言わずに「遺憾である」と言って、あからさまに怒らない。

「ごめんなさい」と言わずに「遺憾です」と言って、ちゃんと謝りもしない。

まるで他人事のようです。

和を重んじる日本人が、自己主張を押し殺した結果なのでしょうか。

政治家や役人は、こんな言葉遣いばかりしているものだから、いざ外国を怒ろうとしても、迫力がない。

もう「遺憾」の使用をやめませんか。

「遺憾」禁止。使ってはイカン。

血液型と性格

血液型と冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)の発生頻度には、関連があるそうです。

その発症頻度をO型と比べると、A型は1.06倍、B型は1.15倍、AB型は1.23倍だったとのこと。

約9万人を20年以上にわたって追跡調査した<a href="http://atvb.ahajournals.org/content/early/2012/08/14/ATVBAHA.112.248757.short" target="_blank" title="研究論文">研究論文</a>を、友人がFacebookで紹介していました。

これを読んで私は、血液型と性格との関連性も、あながち否定できないように思えてきました。

 A型=神経質=だから冠動脈疾患になりやすい

 B型=マイペース=だからまじめに健診を受けない

 AB型=両方の性格を併せ持つ=冠動脈疾患になりやすいくせに、健診を受けない

ま、これは冗談です。でも考えてみると、本当に何か科学的裏付けがありそうな気もします。

従来、血液型と性格の関連性には科学的根拠が無く、おおむね「迷信」と考えられてきました。

しかし科学的には、物事を完全否定するのは、肯定することよりも難しいはずです。

ABO式血液型を決定する遺伝子は、23対の染色体のうち、第9番染色体に存在します。

一方で性格は、遺伝と環境の2つの要因によって決まると言われています。

そしてその遺伝的要因も単純ではなく、複数の遺伝子が関与していると思われます。

性格に関わる遺伝子のうちの重要ないくつかが、第9番染色体上に存在する可能性もあります。

そうなると、血液型と性格が、ある程度相関する可能性が出てきます。

この遺伝子が解明されたら、「血液型別性格診断」は、もう「迷信」ではなく「科学」です。

さて、次は「星座」と「性格」の科学的関連性です。これを解明するのは、かなり難しそう。

お盆休み

開院して初めて、3連休のお盆休みをとりました。

昨年までは、せいぜい2連休だったので、われながら、ずいぶん思い切ったものです。

で、私がどのように過ごしているのかというと、「ドック入り」しております。

3連休の夏休みのうち2日を、人間ドックで過ごすことにしたのです。

2日間ドックの初日の今夜は「お泊まり」も選択できますが、私は現在帰宅しております。

「泊まってもよかったのに」と家人は言います。

もちろん帰宅しても、飲酒などの不摂生はしておりません。大人しく、ブログなどを書いております。

せっかくの夏休みなんだから、どこか旅行にでも行けばいいのに、とお思いの方もいらっしゃるでしょう。

それがリフレッシュのためだというのなら、私の場合は少し違うのです。

火曜と金曜の休診が、ちょうどよい生活リズムを作り、適度にリフレッシュできているからです。

毎晩のブログ執筆も、その日のリズムを作っているかもしれません。

だから変に2,3日の連休があると、リフレッシュを通り越して、休みを持て余してしまうでしょう。

書斎の片付けをしたり、阿蘇をドライブしたり、芝生を刈ったり、多分全部が中途半端に終わりそうです。

そんなわけで、間違いのない「連休の過ごし方」として選択したのが、人間ドックなのでした。

毎日書くこと

ブログを毎日書くのはいかがなものか、とのご指摘を、たまに頂戴します。

無理して書くと、文章の質が落ちるのではないか、とのご意見です。

でも、たまに書いて、しかもつまらなかったら、それこそ目も当てられません。

更新の間隔があけばあくほど、どんどん敷居が高くなって、ますます書けなくなってしまいます。

毎日書けば、それほどの文章ではなくても、まあ毎日書いてるからね、と許してもらえそうな気がします。

更新が不定期だと、安定的読者(いるのなら)を失望させることになります。

長期間更新されなければ、読者のブックマークからも(登録してあるのなら)消えてしまうでしょう。

1回穴を開けると、やがて2日、3日、1週間、1カ月とズルズル穴を開けるのが平気になってしまいます。

もともと根気強い性格ではないので、自分を律するために、毎日のブログ更新を課題にしたわけです。

ネタが無くても何か書く。書くために考えたり、調べ物をしたり、それはそれなりに勉強になります。

休日にはしばしば、近所の紀伊國屋書店に行きます。買うのは新刊本とパソコン雑誌や科学雑誌など。

新聞の社説精読の苦行も続けています。もちろん全国紙5紙です。1紙だとイデオロギーが偏るので。

継続は力なり。

ていうか、何の力になるのやら。

商標権

Microsoftがこの秋にも発売する「Windows 8」の特徴は「メトロ」と呼ばれるインタフェースです。

アイコンではなく、タイルのようにボタンが並びます。

タイルなので面積が大きく、その内部にさまざまな情報を、リアルタイムに表示できます。

これを「ライブタイル」と呼ぶそうです。なかなか良いアイデアだと思います。

Appleがアイコンにこだわり、タイルに思い至らなかったのは、正直残念です。

ところでその「メトロ」に商標権の問題が生じ、今月あたりからその名称を使用しなくなったようです。

「開発上の仮名称だった」と、Microsoftは言っていますが、負け惜しみですね。

商標問題では、Appleも苦労しています。

中国国内での「iPad」の商標権を主張する中国企業に、Appleは48億円を支払うことで和解したばかり。

これはAppleが、何年か前に商標権を購入する際の手続きが、不完全だったことによるものでした。

最近では「iPhone」の商標権をめぐっても、中国企業とちょっとしたいさかいが起きています。

これはAppleが、商標権を取得する際に、商品区分を十分広くしておかなかったことによるものでした。

中国に進出する世界中の企業が、知的財産権をめぐって、これからも苦労し続けることでしょう。

日本でもAppleは、インターホン最大手の「アイホン」と商標権をめぐって交渉した<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4.html" target="_blank" title="経緯">経緯</a>があります。

長らく隠されていたその商標使用料が、年間1億円だったことが、先月判明しました。

中国企業とは違って、わりと良心的な価格ですね。