過去最大級の勢力と言われる、台風15号が接近しています。
気象衛星の画像を見ると、くっきりと「目」が見えます。
遠心力のために、雲が存在できない領域が、目です。
だから目がはっきりしているほど、強い台風だといいます。
台風の目といえば、思い出すことがあります。
20年ぐらい前、福岡市を台風が直撃した、ある晩のことです。
帰宅しようにも、駐車場まで行くのも困難な暴風雨のため、大学の研究室で時間をつぶしていました。
ところが少しして、ウソのように、ピタッと風雨がやんだのです。
ヘンな気分になり、同僚と外に出てみて、異様な光景に驚きました。
自分たちを中心にして、周囲にぐるりと360度、不気味な雲の壁が立ちはだかっていたからです。
しかも上を見上げると、雲ひとつ無い黒い空が広がっています。
直感的に「台風の目に入った」と悟りました。周りにそびえるのは「目の壁」と呼ばれるものでした。
帰るなら今だ、とばかりに、同僚は一目散に帰宅。それが正解。
しかし私は、目の壁がだんだん迫ってくると、どんな感じなんだろうと思い、大学にとどまりました。
結局、あとで悔やむことになります。
当たり前のように、暴風雨が吹き荒れたのでした。