「東急ハンズ」と「ハンズマン」は、名前も似ていますが、どちらも好きな店です。
たまに上京することがあると、東急ハンズには必ず行きます。
その中でも、モノを探しやすい新宿店が好きです。渋谷店の構造は好きになれません。
昨年やっと九州(福岡)にもできたので行きましたが、どうも品揃えが今ひとつ。
ていうか、最近の私の嗜好で言うなら、東急ハンズよりもハンズマンなのです。
豊富な品揃えは両者共通ですが、その内容はかなり異なります。
これを「都会的」vs「田舎的」とタイプ分けするのは、短絡的です。
むしろ「趣味的」vs「仕事的」と言うべきかもしれません。
実際ハンズマンのお客さんには、作業服を着た方が目立ちます。
ハンズマンにはいつ行っても、店内をいつまでも回遊していたい気分になります。
しかし、たまに家人を連れて行くのですが、どうも女性にはわからないようですね、その楽しさが。
女性というのは、驚くほど大量に並ぶネジやニッパーを前にして、何の感慨も湧かない生き物なのです。
ある日、「鬼針金」と書かれた段ボール箱を、カートに積んで出てくる初老の男性客が目にとまりました。
鬼針金なるものを、箱いっぱい購入したこの男性は、いったい何者か。
それ以上に、そもそも鬼針金とはどんな針金なのか。やたら太いのか。とてつもなく強いのか。
興味なさげな家人をせき立て、針金コーナーをくまなく探し、ついに発見しました。
どうやらそれは、鉄条網に使う「有刺鉄線」のことでした。なるほど、うまいこと言いますね「鬼針金」。
それを知って私は、また今日も、人生が豊かなものになったような気分でした。
もちろん家人は、また今日も、時間が無駄になった気分だったことでしょう。