カゼ(風邪)の多くはウイルス感染によるものなので、抗生剤治療は無効であり不要です。
しかし、カゼの中には時々、細菌感染症が含まれていることも知られています。
ウイルス感染か細菌感染か、はたまたそれ以外の病原体(マイコプラズマなど)が原因か。
それらをただちに区別するのは困難ですが、病状や所見等から、おおまかに判別はできます。
患者さんのなかには、抗生剤の処方を希望される方が、今でもけっこう多いです。
逆に最近は、不要なら抗生剤は飲みたくないという方(=ほぼ正しい考えの方)もおられます。
そういったこともふまえて、いまの私の抗生剤処方スタンスはこうです。
(1)必要と思われる場合は、処方する。(必ず)
(2)不要と思われる場合は、処方しない。(なるべく)
(3)それらの中間の場合は、患者さんの希望を尊重する。
いや、こう書きましたが、(3)が多いのです。たとえばこんな感じ。
私「抗生剤は、あまり必要ないかもしれませんね」
患「念のため、出しといてもらえませんか」
私「ですよね」
この会話でもわかるように、最近私は、医学的正論ばかりを押し通すのはやめました。
治すべきは病気ではなく人なので。