少し前に産経新聞のコラムが、「アリとキリギリス」の話をとり上げていました。
このイソップ物語の結末が、原典と日本語版で異なるというのです。
夏の間遊びほうけていたキリギリスが、冬になってアリに助けを求めたとき、アリはどうしたか。
原典では、キリギリスを助けないのに、日本語版では、アリはキリギリスを助けます。
私がこどもの頃に読んだ本も、そんな結末でした。
ところがそれは、高度成長期の話とのこと。最近では、日本語版でもキリギリスを助けないそうです。
日本人の気質が変わってきたのでしょうか。
このコラムを読んで「情けは人のためならず」ということわざを思い出しました。
原義は「情けをかければ、いつか自分にも返ってくる」という、温情ある考え方。
しかし「情けをかけたら、その人のためにはならない」という、厳しい解釈が最近広がっているそうです。
もちろん後者は誤りですが、文化庁の調査では、後者で理解している日本人の方がむしろ多いとのこと。
古き良き日本人の気質が失われつつあるのか、余裕がなくなってギスギスしてきたのか。
そう思えば私自身も、もっと寛大にならなければと、反省してばかりの毎日です。
イソップ物語でいうなら、北風よりも太陽でありたい。