入学試験などの問題点を語るとき、よく「知識偏重から応用力重視へ」といった言い方がされます。
応用の方が上位で知識は格下のような表現です。はたしてそうなのでしょうか。
(1)知識と応用は切り離せるのか
たとえばある病気について勉強するとき、最初に病気のメカニズムを知る(=覚える)ことから始めます。
そうすれば、症状や検査法、治療法などを理解しやすく、それらも覚えやすくなるからです。
そのように、覚えた知識を有機的に結びつける作業こそが、応用だと思います。
知識が多い方が応用範囲も広がり、知識のない領域では応用のしようもないのです。
(2)知識が教養の基礎となる
テレビなどで、歴史や古典などについての話題が出たとき、ふとそれを懐かしく感じることがあります。
記憶の片隅にある受験知識が、数十年ぶりによみがえるのです。
懐かしさからやがて、ちょっと本でも買って勉強してみるか、という気になります。
大人になってからの勉強は、好きでやるものだから、楽しいものです。
年齢とともに記憶力は低下するのに、「若い頃に覚えたこと」は、妙に記憶に残っています。
若い頃の記憶は、定着しやすいのかもしれません。
であればなおさら、若い頃に知識を詰め込む受験勉強も、捨てたものではありません。