原発再稼働へ

野田首相が先ほど緊急記者会見を開き、国民生活を守るために大飯原発を再稼働すると「宣言」しました。

日本は原発ゼロになってから、ちょうど1カ月を経過しています。

そのままなし崩し的に脱原発へ向かう可能性も、一時は現実味を帯びていました。

しかし、電力不足による産業や生活への影響は、確かに懸念されています。

再稼働派の言い分は、代替電力がないから再稼働しかないのだ、という「現実論」でもあります。

夏を前にしてついに、「政治判断」による原発再稼働となったことは、もう止められない動きのようです。

やむを得ないと思いながらも、問題点はヤマほどあります。

大飯原発は安全だと首相は言い切りました。

最大級の地震や津波を想定しても安全という意味です。

ところがその「安全」のための対策は、まだ途上です。

免震棟やフィルター付きベントなどの設備は、今後数年中に作られる予定のものです。

新しい原子力規制組織も、まだできていないどころか、各党間でやっと調整がついたところ。

万一の原発事故のときの、防災体制づくりを担う組織も、それを新設することを決めただけの構想段階。

野田首相の影の声は、きっとこうです。

「新しい安全対策が整うまでの間に大地震が起きることだけは、想定しないでおきましょう」