6月に入ってもなお、インフルエンザの発症が散発しています。どうなってるんでしょうね、今年は。
一方で、来シーズン用のインフルエンザワクチンが、現在フル回転で製造されつつあります。
インフルエンザウイルスは変異を起こすので、流行する型(「株」とよびます)は年々変化します。
株が異なるワクチンでは有効性が劣るので、来シーズン流行するであろう株を予測しなければなりません。
いま製造中なのは、今年2月にWHOが発表した予測と国内情報も参考に、厚労省が決定した3つの株です。
鶏卵培養によるワクチン製造には数カ月間かかるので、できあがるのは8月です。
完成品は、国立感染症研究所が約1カ月かけて詳細にチェック(国家検定)します。
それにOKが出てから、メーカーは大慌てでワクチンを包装し、出荷。
当院のような末端の医療機関に届くのは9月下旬。10月1日からの接種に間に合うか、毎年ヒヤヒヤです。
ところで考えてみてください。
インフルエンザの流行期を2月としたら、その1年前に予測した株のワクチンを接種しているわけです。
そりゃワクチンの効果が悪い場合もあるでしょう。
鶏卵培養法のいちばんの問題は、製造に時間がかかること。
現在、製造期間が大幅に短縮できる、細胞培養法によるワクチン製造の準備が、進められています。
厚労省の助成を受けて、国内4社がプラントを構築中で、数年内には実用化されるらしいです。
細胞培養法には、もう一つの利点があります。
それは鳥インフルエンザ対策です。
もしも高病原性の鳥インフルが流行したら、卵の流通が制限されたり、鶏が処分される場合があるからです。
鳥インフルエンザのパンデミックは、恐ろしいことですが、絶対に想定しておかなければなりません。
3年前の豚インフルエンザ騒動はとんだドタバタ劇でしたが、いい意味でも悪い意味でも、予行演習にはなりました。