全線開業から1年。九州新幹線のニュースを見ていて思い出したことがあります。
それは20年ぐらい前。知り合った新幹線の運転士さんに、新幹線の電気代を尋ねたときのことです。
うろ覚えで恐縮ですが、たしか東京ー博多で100万円ぐらいでした。
面白いと思ったのは、運転の仕方によって電気代がずいぶん変わると言うのです。
あれって完全自動運転ではないのですね。
アクセル(便宜上そう言わせてもらいますが)のふかし具合ひとつで、電力消費量がずいぶんかわるとのこと。
節電できたか浪費したかは、終着駅到着時にすぐわかるらしく、それが運転士の「評価」にも直結するという厳しさ。
線路の勾配やカーブ、駅までの距離などを頭に入れておき、常に先を読み、無駄なアクセルは踏まず、不要なブレーキはかけないというエコ運転は、自動車の場合と基本は同じです。
とくに重要なのが勾配で、下りではできるだけ惰性を使うそうです。
ところがややこしいのは、駅到着時刻の厳守です。これは基本的に省エネ運転と相反します。
遅刻には、電力浪費よりも大きなペナルティが科せられるそうです。
だから、駆け込み乗車にはとても腹が立つとのこと。
新幹線は到着の早さがいちばんのウリです。すでにギリギリの所要時間でダイヤが組まれています。
発車がたった30秒遅れても、それを取り戻すためにはそうとう「とばす」必要があり、もはや節電は諦めるしかないのです。
運転士さんのためにも、駆け込み乗車はやめましょう。