ウソつきの言うこと

「オオカミが出た」とウソをついて大人をだました羊飼いの少年が、本当にオオカミが出たときに誰にも信じてもらえなかった、というイソップ物語があります。

その結末については昔から議論されていて、私もずっと気になっていました。

つまり、最後にオオカミに食べられてしまったのは誰か、ということです。

それによって、この物語から得られる教訓が変わってくるからです。

少年が食べられたのであれば、「ウソばかりついていると、人から信用されなくなるよ」という戒めになります。

ところが、村の羊が食べられたとするならば、「ウソつきの言うことでも、先入観を持たず耳を傾けるべきだよ」という話になってしまいます。

そしてイソップの原典は後者だとされています。

日本でいま、「ウソばかりついている人」と言えば、政治家、官僚などがあげられます。

とくに東電。何を言ってもすんなりと信じることができません。

異常な高温を示した、福島第一原発2号機の温度計について、東電は「故障」と断定しました。

たしかに科学的にはその通りかもしれません。

しかし、「温度計が故障していない可能性も考慮して、これこれの対策も講じております」とのひとことがなぜ出てこないのか。

事故当初、水位計の故障に気付かなかった件は忘れてしまったのでしょうか。

東電に反省がないものだから、国民も信用する気になれないわけです。