ミニカルテという試み

本日、当院は開院4周年を迎えました。さて・・・

よその医療機関では誰もやってないだろう、と思うのは「ミニカルテ」。

開院当初から続けている、A6サイズの診療手帳を、そのように呼んでます。

その日の診療内容(病歴・所見・処方・検査結果など)と、私からのコメント(診断・見通し・注意点など)をすべて記入して、患者さんに渡します。

口で説明するだけでなく、印刷して、おまけにノート方式にして記録を蓄積していけば便利だろうと、そんな思いで導入したのですが、現在に至るまで、苦労の連続です。

ミニカルテの内容を全部手入力するとなると、それだけで1人当たり5分も10分もかかります。さすがに診療が滞ります。時間短縮と省力化のためには、電子カルテと連動するしかないと考えて、電カル会社と交渉しました。

数社からは門前払いされましたが、2社が興味を示してくれました。そのうちアガペ社は、社長自ら私のアイデアを高く評価してくれました。面白いアイデアなのでぜひ当社でやらせてほしいと。

私のアイデアを盛り込むためには、電子カルテのプログラムを書き換えて、新バージョンを作ってもらわなければなりません。上京して、開発担当者と細かい仕様を打ち合わせ、その後もメールでやりとりしながら、修正作業を繰り返しました。完成したのは開院の直前。

電子カルテの内容がそのまま印刷される仕組みなので、2号用紙部分さえきちんと記載してあればよいのです。でもこれがたいへん。いちばん大事なコメントの入力だけでも、一人当たり1,2分の時間を要します。

毎日多量の文章を急いでキー入力するので腱鞘炎になりました。ひところは、腕に装具を付け、手首には毎週ステロイド注射をしていました。スタッフに口述筆記してもらうことも考えましたが、誤変換チェックの手間を考えると、かえって時間がかかりそう。

面倒なことしてるなあ、という思いもありますが、誰にもマネできない(したくもない?)ことをしている自負もあります。時々「ミニカルテは助かります」と言ってくれる患者さんの言葉に励まされて、痛む右手首をさすりながら、今日もコメント入力しています。

※熊本市医師会発行の「森都医報」9月号に投稿したものを転載しました。

 投稿時には「アガペ社」の部分を「A社」と記載していました。